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2017年8月

2017年8月 2日 (水)

「第五百八十一話」

「これは!?」
「お目覚めかしら?」
「はあ!?何でこんな状況になってんだよ!?アンタ誰だ!?」
「アタシ?アタシは、謎の美女。」
「謎の美女!?と、とにかくこれはどう言う事だ!?」
「これって?」
「だから!俺の今の状況だよ!」
「今の状況って、もしかして?山奥の廃墟で椅子に縛り付けられてる状況の事かしら?」
「それ以外にないだろ!」
「あはははははは!」
「なぜ突然笑う!謎の美女!」
「いやだって、これが笑わずにいられる?」
「いられるだろ!謎の美女!」
「あはははははは!」
「お前!俺を殺すんだろ!」
「あはははははは!」
「笑うな!」
「そうよ!」
「なっ!?」
「だとしたらどうだって言うの?」
「どうだって言うのっていっぱい言いたい事はある!とりあえず銃をしまえ!」
「嫌よ!でも、聞きましょう。」
「まず、俺とお前は知り合いじゃないだろ!知り合いじゃないのにこの状況って、お前は快楽殺人鬼か?でなきゃ殺し屋か?」
「あはははははは!」
「だから笑うなって!謎の美女!」
「だってだってだって!これが笑わずにいられる?」
「だからいられるだろ!謎の美女!快楽殺人鬼でもなきゃ殺し屋でもないなら!お前は、何者だ!」
「本当に何も覚えてないのね。」
「何も覚えてない?」
「この状況を作り出したのは、アタシじゃない。アナタよ。」
「はあ!?」
「映画や小説の中みたいな殺され方をしたい。そう言ったのは、アナタなのよ?覚えてない?」
「覚えてる訳がないだろ!何なんだよ!その斬新な自殺!」
「自殺?まあ、でも結局はアタシがとどめを刺さなきゃならないから、他殺?」
「待て待て待て!ちょっと待て!」
「待てないわよ。」
「どうして!」
「あんな大金を貰ってるんだもの。最後までちゃんとやらなきゃ。」
「大金?やっぱり殺し屋か!依頼主は誰だ!」
「だから、依頼主は、アナタよ。」
「だから!俺が俺を殺せなんて依頼する訳がないだろ!」
「アナタは、自分の記憶を自分で消したの。」
「はあ!?」
「見て、殺すなって言っても殺せって契約書よ。」
「ふざけんな!」
「あはははははは!」
「笑うな!」
「だって、バーでアタシもアナタにこの話を持ち掛けられた時、同じような事を言ったから、ふざけないで、ってね。」
「何!?」
「ほら、記憶が戻らないうちに終わらせましょうよ。」
「こんな事、有り得ないだろ!」

「アナタ、ある意味、幸せ者ね。」
「どこがだ!」
「だって、夢が叶うんですもの。」
「いや、待て待て待て!記憶が戻った!やっぱり契約はなしだ!」
「あはははははは!」
「そう、そうだ。そうやって銃をゆっくりおろした後は、この縄をほどいてくれ。」
「あはははははは!記憶が戻った?」
「そうだ!何てバカな事を俺は考えたんだって後悔してる!ああ、金はもちろんやるよ!こんな事に付き合わせちゃったんだからな!」
「記憶が戻った。」
「いや本当に良かったよ!ギリギリのとこで記憶が戻ってさ!」
「それが合図よ。」
「えっ!?」
「パン!」

第五百八十一話
「一人称は、僕」

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2017年8月 9日 (水)

「第五百八十二話」

「先生!!」
「おう!ウンコの親分!」
「女子にどんなアダ名付けてんですか!」
「いやほら、足が速いだけが取り柄の美人ってだけだと、インパクトが無くて何かと苦労が絶えないだろ?だから、インパクト特大のアダ名を付けて上げたんだ!」
「いらん!」
「お前さぁ?仕事しろよ。」
「はあ!?何ですか急に!?してますけど!」
「お前さぁ?出版社にお勤めだろ?物書きの家にいきなり来て、先生!!って叫んでお給金貰えるなんて、世間に顔向け出来ないだろ。両親、大号泣確定だぞ?ちゃんと働きなさい?」
「だから働いてるわい!!誰が、物書きの家に先生って叫びにだけ来て給料貰ってんだ!アタシは、ちゃんと仕事しに来てんだ!そして、会社でもそれ以外の仕事してんだ!」
「じゃあ、して下さい?」
「これからしますよ!」
「どーぞ。」
「先生から、貰った原稿を読んでて気になった箇所があったんですよ!」
「いや何でそんな怒りモード?」
「これ!これです!これ!」
「近いなぁ。ん?これ、お前さんがサスペンス的なミステリー的な犯人が最後の最後まで分からない話なんか書いたらどうですかって言うから書いた原稿だろ?どうだ?最後の最後まで犯人が分からなかっただろ?」
「いや分かるか!」
「ぶわっはっはっはっはっ!!」
「いやいやいや、悪魔みたいに豪傑に笑ってますけど、笑ってられんのも今のうちですよ?先生!」
「何が言いたい!!」
「何で急に怒りモード?」
「だいたい、お前が先生って言ってやって来る時は、理不尽な悪い知らせばかりだからだ!」
「理不尽じゃありません!」
「だったら言ってみろ!」
「これ、この作品、ずーっと、主人公のお兄さんが犯人ってフラグ立ててますよね!でもどうでしょ?最後の最後で、犯人は主人公の父親!」
「どうだ?最後の最後まで犯人が分からなかっただろ?」
「最後の最後まで犯人を分からない事にだけ!そこにだけ焦点当ててるから、辻褄がメチャクチャじゃないですか!」
「はあ!?」
「よくこのタイミングで白眼が出来ますね!物語がメチャクチャだって言ってるんです!」
「いや、物語はメチャクチャかもしれないが、最後の最後まで犯人は分からなかっただろ?」
「白眼やめてもらえません?いやだから、物語がメチャクチャだったら、ダメじゃん!って話ですよ!意味無いじゃん!って話ですよ。」
「お前さぁ?ちょっと辻褄が合ってないだけで、そんなに激昂すんなよな。」
「ちょっとじゃない!これで犯人が父親って有り得ないぐらい合ってないんです!最後の最後で別次元の物語ですよ!白眼もうよくないですか?」
「じゃあ、実はお兄さんが父親で、父親がお兄さんって事でいいじゃん。」
「どう言う事ですか!いいじゃんて何ですか!いいじゃんて!」
「ツバが凄い!?」
「メチャクチャな上に、そんなムチャクチャしでかしたら、読者にぶっ飛ばされますよ!」
「俺は、読者にぶっ飛ばされたい!」
「先生の性癖を作品に反映させないで下さい!」
「誰が性癖って言った!そう言う覚悟で真剣に創作活動してるって意味だ!」
「自由過ぎる!」
「俺は、読者になりたい!」
「何でこのタイミングで断筆宣言!?」
「ここで一句。」
「なぜ?」
「今日は火曜、水曜だったら、字余りだ。」
「季語は?」
「火曜。」
「火曜は、オールシーズンだ!」
「世界は広い。火曜が無い地域だってあるだろ?俺はな。世界を視野に入れてんだよ。ワールドワイドだ!」
「俳句を持ち出した時点で世界規模ではない!あと、上手くやりくりすれば水曜でも字余りにならない!いやいやいや、そうじゃないそうじゃない!一句詠む暇があったら、先生!このメチャクチャな作品をどうにか修正して下さいよ!でなきゃ、新しく作品を書いて下さい!」
「話はそれだけか?」
「ええ、そうです!」
「ブッ!!」
「何で屁をこくんですか!どうして屁をこくんですか!」
「そこにケツの穴があるからさ。」
「世界でも最低レベルの格言ですね。くっさっ!?」
「そりゃあ、そうだろう。かなり前からトイレ行きたいんだからな。」
「最低!」
「話を聞いてやっただけでも有難く思いなさい。」
「はいはい。じゃあ、アタシ帰りますけど、作品の修正、頼みますよ。」
「ブッ!!」
「ちょっと!ぶっ飛ばしますよ!まあでも、先生がやる気出してくれて良かったです。」
「ブッブッー!!」
「よっしゃー!って!じゃあ、宜しくお願いしますね!」

第五百八十二話
「執筆宣言!!」

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2017年8月16日 (水)

「第五百八十三話」

「ねぇ?アナタ、永遠の愛って、どう思う?」
「テーマが重い!夕食でカレー食ってる時にするような話題じゃないだろ!」
「夕食でカレー食べてる時にするような話題じゃないって、逆に夕食でカレー食べてる時にするような話って言うのがあるの?」
「あるだろ!ジャガイモの話とかニンジンの話とか!」
「具?具の話?じゃあ何?永遠の愛とかって話は、しちゃいけないって言うの?」
「したらいけないとは言ってないだろ?ただ、いきなりはテーマが重いって言ってるだけだ。」
「ジャガイモの話とかニンジンの話とかって言われてもジャガイモもニンジンも入ってないから出来ないわ。」
「ジャガイモとニンジン入ってない入ってないと思ってたら、俺に意地悪してるんじゃなくて、根本的に入ってないのか!?」
「そうよ。」
「何でジャガイモとニンジン入れてないんだよ!味がおかしくなるだろ!ジャガイモとニンジンは、レギュラーメンバーだろ!カレーの具の定義をいくら崩したとしてもカレーがカレーを保ててるのは、ジャガイモとニンジン入れてるからだろ!」
「味、味って言うけど、アタシがジャガイモとニンジン入ってないって言うまで、アナタ気付かなかったじゃない。」
「気付いてたよ。」
「嘘よ!」
「気付いてたって言ってんだから気付いてた!」
「子供ね。」
「お前さぁ?なあなあなあ?ジャガイモとニンジンのレギュラーメンバー無しで、何でこう言うピーマンみたいなトリッキーな具を使うんだよ!カレーは、冷蔵庫の余り物を処分する為の便利レシピじゃないんだぞ!」
「ピーマンがトリッキー?ピーマンがトリッキーだったら、こうしてスプーンでカレーをすくってイチゴが乗ってたらどうなるの?」
「それはもう、カレーの向こう側だよ。」
「カレーの向こう側?」
「もはやそれは、カレーであってカレーでない。カレーの向こう側だ。」
「いや、カレーであってカレーでないって、カレーじゃん!」
「カレーにイチゴ入れたいなら!カレー食った後にイチゴ食べればいいだろ!って話だよ!シンプルがベストって言葉があるだろ?カレーはまさにそれだよ!カレーこそが、シンプルがベストなんだよ!カレーの為に作られた言葉って言っても過言ではないんだよ!」
「いや違うでしょ。だから、海鮮のカレーも好きじゃないんだ。」
「そうだよ!」
「美味しいじゃん!」
「美味しいかもしれないが、あれはあれで邪道だ!」
「海鮮のカレーが邪道って、厳し過ぎない?」
「カレーは、厳し過ぎるぐらいが丁度いいんだ!」
「はあ?」
「いいか?具を変えるとしたら、肉だ!それ以外のバランスを崩しちゃいけないのがカレーだ!国と一緒だ。」
「違うでしょ!国とは!」
「いいや、一緒だ。国のトップを変えてもいいが、国民の資質を変えたらその国は崩壊する。カレーと一緒だ。」
「何か、これこそカレー食べながらする話なの?」
「カレーの話をカレー食べながらしないでいつするんだ?旅行の高速で渋滞に巻き込まれてる時にするのか?いいか?そんな時にカレーの話をしてみろ?その旅行の昼食は絶対にカレーだ!」
「いいじゃん!カレーで!」
「よくないだろ!旅行ってのは、その土地その土地で、名物を食うもんだろ!それを差し置いてカレーはないだろ!カレーは!何で俺、ここまで来てカレー食ってんだ?ってなるだろ!自己嫌悪で自殺するかもしれないだろ!」
「考え過ぎよ!そんな事で自殺なんかしないでしょ!」
「確率はゼロじゃない。」
「真顔でカレーを一口スプーンですくって口に運んで何言ってんの?」
「いいや、ジャガイモとニンジンが入ってない以上、これはカレーであってカレーでない。単なる茶色いヤツだ。」
「ヤツって何よ!ヤツって!」
「で、永遠の愛は、ある!」
「突然何!?」

第五百八十三話
「カレー、愛」

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2017年8月23日 (水)

「第五百八十四話」

「神の」
「ああ、神父様?有難い言葉の最中申し訳ないんだが、俺の頼みを聞いて欲しいんだ。」
「私語は慎むように言われています。」
「いいじゃないか。俺は、間もなく刑が執行されて死ぬ身なんだぞ?少しぐらいいいだろ?きっとそれぐらいは神も許してくれるさ。」
「・・・・・・。」
「なっ?」
「・・・何ですか?」
「時間が無いから単刀直入に言うぞ。俺をここから逃がしてくれ。」
「なっ!?」
「俺は死刑囚で、間もなく刑が執行される。これが最後のチャンスなんだ。」
「そんな事が出来る訳がないでしょう。私は、神に仕える身です。貴方は、死刑囚で間もなく刑が執行されるのです。」
「だから、この最後のチャンスに賭けてみたいんだ。」
「人生最後のジョークを言っているのですか?」
「これがジョークを言ってる人間の目に見えるか?神父なら分かるだろ?」
「だけど、一体どうやって逃げると言うのです?何か秘策があると言うのですか?もし、万が一にもこの刑務所を逃げ出せるとして、まず初めに、ここで私が貴方に手を貸さなかったら話はそれで終わりです。」
「アンタは、俺に手を貸すよ。」
「いくら私が神父だとしても貴方は死刑囚です。犯してはならない罪を犯した人間です。そのような人間に手を貸すほど、私は神父として人間が出来ていない。」
「俺にはな。神父様、人の寿命ってのが見えるんだよ。丁度ここ、そう胸の辺りに生年月日みたく見えるんだ。」
「そんな話を信じろと?」
「信じてもらわないと困る。だって、神父様?アンタの寿命は、明日なんだからな。」
「な
っ!?そんなバカな話がある訳がない。」
「これは、百発百中の能力なんだよ。外れた事はない。間違いなくアンタは、明日死ぬ。」
「仮に私の寿命が明日ならば、貴方の寿命は、今日ではないですか。なぜ、明日死ぬ私が、今日死ぬ貴方を助けなければならないのです?矛盾しているでしょう。」
「この能力には、続きがある。」
「続き?」
「病死だ。」
「どう言う意味です?」
「あくまで俺の見える寿命ってのは、病死での寿命のみで、予測不可能な事故や自殺なんかは、除外される。きっと遺伝子レベルの能力ってヤツだ。そして、その寿命は、病の根源の場所に浮かび上がる。つまり、神父様?アンタは明日、心臓発作で死ぬ。」
「なっ!?」
「人生の最後に、良い行いをしたいとは思わないか?」
「貴方の脱獄に手を貸す事が良い行いだとは到底思えませんが?」
「俺の罪は知ってるな?」
「殺人医師。貴方が手術をした患者が何十人も死んでいる。手術中を含めれば更に人数は増える。」
「俺は、誰も殺しちゃいない。だが、致命的だったのは、院長の死だったな。」
「ではなぜ、患者が死ぬのです?患者を救うのが医師なのでは?貴方がしているのは、まるで逆の行為です。」
「まるで逆か。これでも運命に抗おうと必死だったんだがな。神父様に言われるのが一番キツいな。」
「まさか!?救えない命を救おうと!?いやしかし、そんな死刑囚の話、信じられる訳がない。」
「ああ、俺も運命を受け入れて、このまま今日、死のうと思ったよ。アンタがここにやって来るまではな。」
「どう言う意味です?」
「言っただろ?これが最後のチャンスだと。」
「だから、それはどう言う意味なのです。」
「アンタの手術を俺にやらせてくれ!」
「なっ!?」
「最後だ。運命に抗うのは、これで最後だ。アンタを救えなかったら、俺は生まれ持ってのこの呪われた運命を受け入れよう。」
「まさか!?それでもなお、医師を目指したと言うのですか!?」
「ふっ、占い師にでもなれば、今頃は大金持ちだったかもな。」
「しかし、どうやってここから?」
「逃げるのは簡単だ。」
「ここは刑務所ですよ?」
「神父様?誰がいつ、刑務所の外へ逃げると言った?」
「ならば一体どこへ逃げようとしてるんですか。」
「医務室へ行ければそれでいい。いや、手術が出来る場所へ、だ。心臓発作の演技なら得意だ。嫌ってほど目にしてこれまで生きて来たからな。」
「そんな上手く行くもでしょうか?」
「どうせ明日には死ぬ運命の二人なんだぜ?神父様。」
「・・・・・・。」
「なっ?」
「・・・分かりました。」
「ありがとう。」
「だけど、誰も死にませんよ。貴方が私を救い、そして私が貴方の無実を証明してみせます。」
「本当に、ありがとう。」
「では、始めましょうか。もう時間がありません。」
「分かった。」
「お願いしますよ。」
「神父様もな。」
「はい。誰かーっ!!誰か来て下さーいっ!!」

第五百八十四話
「死ぬには良い日だ、と」

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