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2017年9月13日 (水)

「第五百八十七話」

「なあ?剣氏?」
「何だ?盾氏?」
「勇者、来ないな。」
「そうだな。」
「結構、来ないよな。」
「そうだな。」
「こんなにも来ないなんて思わなかったよ。」
「そうだな。」
「いやマジで!」
「そうだな。」
「なあ?剣氏?」
「何だ?盾氏?」
「どうして、こんなにも勇者は、来ないんだ?」
「世の中が、平和だからじゃないか?」
「世の中が、平和だからか!」
「たぶん、そうじゃないか。」
「確かに、魔物を見てない気がする!」
「見てないな。」
「なるほど!平和だから勇者が来ないのか。なるほどなるほど!でも、剣氏?」
「何だ?盾氏?」
「暇じゃないか?」
「暇だな。」
「異様に暇じゃないか?」
「異様に暇だな。」
「ムチャクチャ暇じゃないか?」
「ムチャクチャ暇だな。」
「トコトン!トコトントントン!暇じゃないか?」
「暇だな。だが、盾氏?」
「何だ?剣氏?」
「平和だ。」
「ああ、平和だ。」
「なら、それでいいじゃないか。」
「ああ、これはこれでいいのかもしれないな。」
「うん。」
「なあ?剣氏?」
「早いな?盾氏?どうした?」
「これはこれで、いいとしてだ。これはこれで、こっちに置いといてだ。やっぱり僕は、勇者と共に大魔王的な奴に立ち向かって行きたいって夢を捨てきれない!」
「まあ、その気持ちは分かるよ。盾氏。」
「そうだろ!そうだろ!剣氏!同じ伝説の武具としては、やっぱり勇者と共に大魔王的な奴に立ち向かって行きたいだろ!」
「ああ、分かる。分かるが、盾氏?」
「何だ?剣氏?」
「平和だ。」
「ああ、平和だ。」
「それでいいじゃないか。大魔王的な奴が現れて、勇者と共に退治し、平和を取り戻したとして、一時的にこの世界が平和じゃなくなると考えたら、ずっと平和ってのは、願ったり叶ったりじゃないか。」
「確かに、確かに剣氏の言う通りだ!剣氏の言う通り!」
「僕らが使われない世の中が、一番なんじゃないか?」
「ああ、そうだな。でも、剣氏?」
「何だ?盾氏?」
「そうすると、僕らは一体何の為に存在してるんだ?このままずーっと世界が平和だったら、僕らは一体何の為に存在してるんだ?」
「それはきっと、万が一の為に存在してるんじゃないか?」
「万が一、か。」
「不満かい?盾氏?」
「いやいやいや!不満じゃないよ!剣氏!ただ!」
「ただ?」
「ただ、これでいいのかな、ってさ。」
「ん?どう言う事だい?盾氏。」
「こうして犬に、おしっこ引っ掛けられるだけの運命なのかな、ってさ。」
「平和だ。」
「平和、か?これって、平和なのか?犬に、おしっこ引っ掛けられるだけの運命だとしたら、こんな平和なんか僕は、嫌だ!」
「そうかもな。」
「そうさ!」
「でも、盾氏?」
「何だ?剣氏?」
「大魔王的な奴の攻撃を防いで防いで、防ぎ続けて、壊れてしまうかもだぞ?」
「それはそれで、嫌だ!」
「だろ?」
「難しいな!平和って!」
「それが、平和だ。」

第五百八十七話
「盾と剣を洗う勇者の空想」

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