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2017年10月11日 (水)

「第五百九十一話」

「あーっ!便意!便意!便意便意!」
「ガチャッ!」
「ギャアアアアアア!?」
「いやいやいや、それはアタシの台詞でしょ!」
「すまん!」
「便意も止まるわ!マンションで一人暮らしの美大生の女子の部屋のトイレに爺さんがいたら、便意も止まるわ!」
「だから、すまん!」
「鍵ぐらいしといてよね!」
「鍵?」
「鍵知らないの?」
「すまん!」
「すまんばっかね!鍵って、これ!これをこうするの!そうするとこう言う過ちを防げるの!画期的でしょ?」
「なるほど!」
「鍵ぐらいしといてよねじゃねぇよ!何!?何がどうなってんの!?何で爺さんが便所にいんのよ!?えっ!?夢?これ、夢なの?夢だとしたらアレね。便意喪失のアタシは、完全にベッドで漏らしちゃってるね!これは、夢でも現実でも最悪のパターンのヤツじゃん!」
「すまん、強烈な便意に襲われてな。そう言う時に限って宇宙船のトイレが壊れていて、ここのトイレを借りる事になってしまったのだ。」
「ん?んんん?自宅を宇宙船って呼ぶ奇特な人ですか?」
「いいや、自宅は自宅でちゃんとある。宇宙船は、宇宙船だ。」
「つまり?」
「宇宙人だ。」
「ああ、宇宙人か!宇宙人だったんだ!そっかそっか!宇宙人なんですね!って、いやいやいや、有り得ない有り得ない!どう見ても爺さんだし、むしろ幽霊!?その方が納得が行く!」
「幽霊?」
「幽霊知らないの?幽霊って言うのは、死んだ人がこの世に姿を見せた姿!」
「なるほど!やはり地球は、面白いな。だが、私はその幽霊?とか言う存在ではない。なんせ本当に強烈な便意だったからな。地球のデータベース上の仮の姿を選んでいる暇がなく、とっさにこの姿になり、テレポーテーションしたと言う具合だ。」
「物凄い状況に巻き込まれ過ぎて逆に清々しいわ!脳味噌がキレッキレだわ!今ならこの頭で、前代未聞のデザインが浮かびそうね!なら、本当に宇宙人って事?」
「まあ、キミからしたら私は、宇宙人だな。私からしたらキミが、宇宙人なんだがな。」
「おおっ!?宇宙人に出会い、更には自分が宇宙人となる超激レアな体験!?いや、そんな超激レアな体験に感動して泣いてる場合じゃなくて!何でアタシのとこのトイレなのよ!公衆トイレとかでよかったじゃない!」
「だから、強烈な便意で、姿も場所も選んでいる場合ではなかったのだよ。本当に、すまん!」
「まあ、強烈な便意だったら、そこんところは仕方ないわね。それで?爺さんが仮の姿って事は、本当の姿があるのよね?」
「もちろんだ。」
「ちょっとこの際だから、本当の姿を披露しちゃいなさいよ!」
「いや、それは出来ない。」
「何で?やっぱり幽霊?」
「違う。キミの心臓が止まるぐらいの衝撃だからだ。トイレを貸してもらった恩がある。その恩人を殺したくはないからな。」
「そんな事言っちゃって!本当の本当は、宇宙人じゃなくて幽霊なんじゃないの!」
「手は、こんな感じだ。」
「ウッ!ゲボ出そう!分かった分かった!ゲボ出ちゃいそうだから、爺さんの手に戻して戻して!」
「信じてもらえたか?」
「ええ、物凄い勢いで信じたわよ。即効信じた!それで?宇宙人って言ってもどっから来たの?」
「太陽だ。」
「たたた太陽!?たたた太陽!?あの太陽?」
「そうだ。」
「なら、太陽人って事!?」
「そうだ。」
「すいません。握手して下さい。」
「では、手を洗ってこよう。」
「ありがとうございます!いやあ、凄いなぁ!まさか太陽人に出会えるだなんて!ヤバい!なんか感動の嵐で涙が出て来た!」
「お待たせした。さあ、握手をしようか。」
「あざーす!あと、サインと写真もいいですか?」
「仮の姿でもいいなら。」
「もちろんもちろん!それにあといろいろと聞きたい事があって!」
「ウッ!」
「ん?どうしたんですか?」
「また、強烈な便意が!?」
「早くトイレへ!」
「すまん!」
「バタン!」
「でも、何でそんな強烈な便意に襲われてるんですかね?もしかして、何か変な物でも食べたんじゃないですか?」
「えっ?何か言ったか?ちょっと排便の音で聞こえなかった。ウッ!」
「何か!変な物でも!食べたんじゃないですか!」
「ああ、そうかもな!ディナーで食べた地球人にあたったのかもしれないな!」
「えっ!?地球人に?って、ちょっと?ちょっと何で?何でこのタイミングで便意がリボーン!?」

第五百九十一話
「いろんな意味でエマージェンシー」

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