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2017年11月 1日 (水)

「第五百九十四話」

 ここは、都会のど真ん中にある小さな動物病院。
「次の方、どうぞ。」
「先生!!」
「何なんですか!?」
「えっ!?」
「いや、その、それだよ!それ!何なの!?」
「えっ!?ああ、そうなんです!なんかエリザベスが一昨日辺りから食欲がなくて!先生!」
「入って来ない入って来ない!全く話が入って来ないって!エリザベス?エリザベスって、それ!」
「はい!僕の家族同然のペットのエリザベスです!」
「キリンみたいな首で、ゾウみたいな鼻で、ウサギみたいな耳で、小型犬サイズのそれ!」
「つぶらな瞳のエリザベスです。で、このエリザベスが一昨日辺りから食欲がなくて、病気なんじゃないかって心配で心配で!」
「いやだから!入って来ないっての!話がまるで入って来ないんだってばさ!」
「何がそんなに入って来ないんですか!どうしちゃったんですか!先生!」
「前代未聞の動物を目の前にしてるからだよ!」
「前代未聞って、それは先生が目にした事がないだけですよね?」
「私はね!この世の全ての動物を知ってるんだよ!」
「そんなに凄い先生だったんですか!」
「そうだよ!そんなに凄い先生が度肝を抜かれてんだよ!何なんだよそれ!」
「エリザベスです。」
「名前じゃなくて!」
「オスです。」
「オスなの!?オスなのにエリザベス!?」
「どう言う名前を付けたって僕の自由じゃないですか!」
「んまあね。それは飼い主さんの自由ですよ。で、どうしたの?エリザベス!」
「一昨日辺りから食欲がないんですよ!」
「そうじゃなくて!どこで見つけたのって話!」
「見つける?いや、気付いたらエリザベスだったんですよ。」
「何それ!」
「診て下さい!」
「入って来ないんだっつぅの!だから!」
「こうして先生と話してる間にもエリザベスの容態が悪くなってるかもしれないじゃないですか!」
「そうかもだけど、入って来ないの!気付いたらエリザベスって、何!何それ!ある日、目が覚めたら枕元にいたの?そゆこと!」
「違います。」
「違う!」
「下水道を散歩してたら見つけたんです。」
「そう言う話が聞きたかったんだよ!気付いたらエリザベスって、要約し過ぎだろ!飼い主さんは、下水道のお仕事をされてるんですね?」
「違います。世界の終わりの時計の針を動かす仕事をしてます。下水道は、散歩です。」
「何だ?何なんだ?何か物凄い事だらけだぞ!物凄い事だらけでキャパオーバーで気分が悪くなって来たぞ!」
「エリザベス、大丈夫ですか?」
「淡々とですね!淡々と進めるんですね!まあ仕事柄、淡々としなきゃやってらんないんでしょうけど!」
「ニャー!」
「鳴いた!?」
「鳴きますよ。」
「ニャー!って、鳴いた!?」
「エリザベスですもん。鳴きますよ。」
「キリンみたいな首で、ゾウみたいな耳で、ウサギみたいな耳で、小型犬サイズで、鳴き声がネコ!?」
「つぶらな瞳のエリザベスです。先生、そんなエリザベスが一昨日辺りから食欲がないんです!」
「いや、ちょっと待って!ザベス一回置いとこう。ちょっと待ってこれって、夢?」
「よく言われます。」
「よく言われるでしょうね。こんなのを散歩してる光景を目の当たりにしたら、誰だって思うでしょうね。」
「ニャー!!」
「先生!エリザベスが苦悶の表情です!先生!助けて下さい!お願いします!お願いします!」
「分かりました!私も医者です!動物のお医者さんです!目の前に前代未聞の動物がいるからと言って助けない訳にはいかない!」
「ありがとうございます!」
「では、まず触診をしてみましょうか。」
「先生、全体的に猛毒があるんで気を付けて下さい。」
「何なんだよ!!エリザベス!」

第五百九十四話
「翼もあるよ」

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