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2018年8月

2018年8月 1日 (水)

「第六百三十三話」

「このまま私は死んでしまうのだろうか?」
「・・・・・・。」
「このまま私は死んでしまうのだろうか?」
「・・・・・・。」
「このまま私は死んでしまうのだろうか?」
「・・・・・・すいません。今、脳の手術をしているので話し掛けないでもらえますか?」
「手術してるって言っても誰か他人の脳みその手術をしてるって訳じゃなくて、私の脳みその手術だろ?だったら、誰にも迷惑掛けないじゃないか。」
「例えば怖い話をされて手元が狂ったら、死ぬのは貴方なんですよ?」
「しないよ!怖い話!私だって相当な怖がりなんだから、そんな話なんかしたら、脳みそがビクッてなっちゃうよ!」
「なら、黙っていて下さい。」
「いや、怖い話なんかしないから、他の話題で盛り上がろうじゃないか!」
「手術に集中させて下さい。」
「暇なんだよ。しかも物凄く暇なんだよ。」
「手術される側は、そう言うもんなんです。」
「そうなの?」
「そうです。」
「とりあえず、今どんな具合?」
「順調です。」
「さすが先生だね!名医ってだけある!」
「新築を建ててるとこを見学に来てる家主のおじさんじゃないんですから会話をやめて下さい。と言うか、生きてこの手術室を出たければ、話し掛けないで下さい。」
「なら、歌とか歌ってればいいのか?」
「ダメです!」
「あれか?それは、脳みそがビクッて動いちゃうからか?」
「いえ、単純に手術の邪魔だからです!手術に集中出来ないからです!」
「でも、私が物凄く歌が上手かったら嬉しいだろ?手術する手もいつもよりスムーズだろ?」
「いえ、本当に単純に手術の邪魔です。」
「でもでも、私が物凄く有名な、世界的に有名な歌手だったら聞きたいだろ?」
「貴方が世界的に有名な歌手だろうが、単なる近所の歌上手おじさんだろうが、手術の邪魔です。聞かせてもらうなら手術が成功して、しばらくしたら病室で聞かせてもらいます。」
「今じゃないと歌って上げないって言ったらどうする?」
「なら、歌ってもらわないで結構です。」
「先生は、相当の頑固者だな。今日は絶対オムライスを昼食に食べるって決めたら国境も越えるだろ。」
「どんだけ頑固者なんですか!そもそも私は、これっぽっちも頑固者ではありません!」
「先生!ちょっと手相見せてよ!私ね、こう見えても手相占いが出来るんだよ!この手術が成功するかしないかを占って上げるよ!」
「それをしてもらった時点で既に手術を失敗する気がしてなりませんけど?」
「先生がいつどんな相手と結婚するかとか、先生にあった職業とかも占って上げるよ!」
「僕はもう結婚してますし、こうして働いてます!」
「運命の相手じゃないかもしれないし、天職じゃないかもしれないじゃないか!」
「結婚の方はともかく、職業の方は自分で言ってて怖くないですか?」
「え?脳みそがビクッてした?」
「しませんよ!本当に黙っててもらえませんか?」
「暇なんだよ。死にそうなぐらい暇なんだよ。」
「脳みそ丸出しで死んだ人は見た事ありますけど、暇で死んだ人を見た事ないので大丈夫です。」
「なら、今日見ちゃうかもしれないぞ?どうする?今日見ちゃったら?どうするどうする?」
「どうもしませんよ。ああ、人は暇で死ぬんだなって思うだけですよ。ただただ、そう思うだけですよ。」
「ああ!」
「何ですか?」
「そんな事言って先生まさか?まさか先生?」
「何ですか?」
「自分が手術で失敗して死んだ事を私が暇で死んだ事にしようとしてるんじゃないだろうな!」
「そんな事、絶対にしませんよ!」
「暇だから怖い話でも口ずさんでようかな。」
「ちょっと誰かーっ!何でこの人麻酔が効いてるのに喋ってんのか教えてーっ!」

第六百三十三話
「歌下手おじさんの手術は無事成功」

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2018年8月 8日 (水)

「第六百三十四話」

 

 

 

 

 

「ああーっ!くそっ!メロンが食べたい!!」

 

 

 

 

 

第六百三十四話

「メロンが食べたい!!と言うタイトルを付けた絵画をあえて文字だけで発表してみました」

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2018年8月15日 (水)

「第六百三十五話」

「クリームパンですね。」
「いやちょっとアンタ待ちなさいよ!何回?何回このやり取りを繰り返したら気が済むの?」
「クリームパンを200パンですね。」
「今の注意を促す会話の中の一体どこ200と言う数字が隠されていた?あと、パンは単位がパンなの?ちょっとアンタ待ちなさいよ!落ち着きなさいよ!」
「お客様?僕は、落ち着いていますよ。むしろ人生、落ち着きでここまでやって来た感じです。」
「ならそれは、果てしなく間違った人生のようね!いい?パン屋の店員さん!ねえ?いい?これで200回目ぐらいだけど、もう一度言わせてもらいます!メロンパン3つ下さい!」
「クリームパンですね。」
「もうアレね!このパン屋さんでは、メロンパンがクリームパンって名前なのかしら?」
「マダム?」
「何よ!」
「メロンパンはメロンパン。クリームパンはクリームパン。それがパン屋の絶対にねじ曲げてはならないルールです。」
「ならその絶対的なルールに従って接客しなさいよ!」
「かしこまりました。クリームパンを200パンですね。」
「違うわよ!メロンパンを3つよ!」
「かしこまりました。」
「じゃあ、今のを復唱してもらえる?」
「それは任意ですか?」
「強制よ!」
「では、クリームパンを200パンを復唱致します。」
「いい!いい、いい!復唱しないでいい!復唱しようとしてる事が間違ってるからしないでいい!」
「クリームパンを200パンですね。」
「しなくていいって言ってんでしょうが!!何なのかしら?何で言う事を聞かないのかしら?アレね!とりあえず200パンってのをやめてもらえる?そこから訂正していきまょう!」
「199パン?」
「3つよ!」
「198パン?」
「3つ!」
「197パン?」
「3つ!」
「196パン?」
「面倒臭ぇ!!何これ!3になるまでこのやり取り?こんな不毛なやり取りをしていかなきゃならないの?果てしなく無駄な時間を過ごさなきゃならないの?パン?単位をパンで言えば分かってもらえるの?そう言うルール?なら、3パン!」
「195パン?」
「意味なかったーっ!!単位のパンには、全くと言っていいほど意味なかったーっ!!ちょっとアンタ!」
「194パン?」
「ちょっと!」
「193パン?」
「あのね?」
「192パン?」
「いやもう会話すら成立しないじゃないの!単なるカウントダウンじゃないの!意味不明なパンカウントダウンじゃないの!」
「191パン?」
「メロンパン3つ!」
「クリームパンを200パンですね。」
「200に戻った!?って、今までのパンカウントダウンは、一体何を意味してたのよ!アレね!もうむしろそんなにゴリ押しするクリームパンが食べたくなったわよ!じゃあね!もうメロンパンは、いいから!クリームパン3つ!」
「クリームパンを200パンですね。」
「もうアレよ?アンタ、それはもはや詐欺レベルよ?マダムから無理矢理にお金を騙し取る詐欺と一緒よ?それともアレ?クリームパン3つとクリームパン200個の値段は同じなの?」
「クリームパン3パンはクリームパン3つパン、クリームパン200パンはクリームパン200パン、それがパン屋の絶対にねじ曲げてはならないルールです。」
「じゃあ、詐欺だわ!クリームパンのゴリ押し売りだわ!ねえ?もしかしてだけど、クリームパンが美味しいからオススメしてるんじゃなくて、クリームパンが激不味で余ってるからゴリ押し売りしようとしてるんじゃないでしょうね!」
「違いますよ!!!」
「そんなに激怒!?そこまで激怒する事なの!?奥さんにプレゼントされた靴をけなした訳じゃないのよ?アンタの理不尽をどうにか理解しようとしての発言よ?」
「激不味なのは、メロンパンです!!」
「優しっ!?いや、だったらだったで、メロンパンをメニューから外しちゃいなさいよ。」
「マダム?」
「何よ。」
「激不味のメロンパンを作らないと、激美味のクリームパンが作れないんです!」
「ややこしいルーティンね!いやでも、それでもよ?ケースの中に置くのやめちゃいなさいよ!このやり取りが激しく面倒臭いじゃない!」
「マダム?」
「何!」
「ケースの中に激不味メロンパンがあるから、激美味クリームパンなんです!」
「それは分からない!何でメロンパンがそこにあるとクリームパンが美味しくなるの?」
「知るか!!!」
「情緒がもう、不安定で不安定でもう、さっさとパン買って帰りたいわ。だから、クリームパン3つ。」
「クロワッサンを500ワッサンですね。」
「ワッサン!?」

第六百三十五話
「ぜ~んぶ激不味パン屋さん」

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2018年8月22日 (水)

「第六百三十六話」

「ドンドンドンドンドンドンドンドンドン!!ドンドンドン!!ドンドンドンドンドンドン!!ドンドンドン!!ドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドン!!」
早朝、けたたましいノック音に起こされ、ドアを開けるとそこには
「何だ!お前は!」
「タコです。」
タコがいた。
「タコだけど!タコだけど!タコだけど!」
「・・・・・・。」
これは、夢か現実か?なぜ、タコが?タコだからノックがけたたましかったのか?タコならではのけたたましさ?タコにしか出来ないけたたましさ?いや、いやいやいや、そんな事より、そんな事よりもだ!どう考えてもおかしいだろ!この現実!
「お尻の肉がちぎれるわ!」
「えっ?」
「いや、何でもない。こっちの話だ。」
「そうですか。」
冷静に、冷静に、ずーっと冷静に、ずーっとずーっと冷静に、だ。こんな世の中だ。今は昔とは違う。今が昔と同じだって考えで死んでった人間を俺はニュースで何人も知ってる。そう、知ってる。だから、早朝けたたましくドアを叩いてタコが家にやって来る事だってある。俺が初めてじゃない。そう、きっと俺みたいな体験をしてる先人が何人もいるはずだ。必ずいる!いなきゃ困るぞ!おい!
「それで?タコが、早朝けたたましく一体何の用なんだ?」
「実はですね。」
「ちょっと待った!まさかアレか?アレなのか?」
「アレ、とは?」
「おい、おいおいおい!いよいよか?いよいよなのか?」
「何が、そんなにいよいよなんですか?」
「これってアレだろ?アレなんだろ!」
「アレ、とは?どうか落ち着いて下さい。」
「ああ、そうだな。そうだったな。」
「・・・・・・。」
まさか、タコに感情をコントロールされる日が来るとは思ってもみなかった。だが、これはアレだな!確実にアレだな!思い当たる節もあるしな!絶対にアレだ!いよいよか!いよいよなのか!平凡で、平凡過ぎる40年近い俺の人生もこれでやっと華やぐ!青天の霹靂とはまさにこれだったのか!
「ありがとう!」
「えっ?」
「先に言っとくよ!ありがとう!」
「えっ?何がですか?」
「もう一回言っとくよ!ありがとう!」
「だから、何がですか?」
「もう焦らさなくていいから!さっさと例の言葉を言ってくれ!」
「例の、とは?」
「だから!恩返しに来ました、ってヤツだよ!」
「恩返し?」
「昨日、寿司屋で助けてもらったタコです!恩返しに来ました!ってヤツだよ!」
「昨日、お寿司屋さんに行かれたんですね?」
「行った!美味かったなぁ!寿司!思い出しただけでも鼻がツーンとするよ!」
「はあ。」
「で、あの寿司屋で俺が助けたタコなんだろ?そうなんだろ?」
「・・・・・・。」
よかった!本当によかった!あの時、お腹いっぱいで何て言うんだ?あの木の四角いヤツ?あれの上のタコだけ食べられなかった時は、この胃袋を引きずり出して引き裂いて引きずり回してやろうかと思ったけど、そんな事をしなくて本当によかった!ありがとう!俺の理性!
「それで?一体どんな恩返しをしてくれるんだ?どんな華やぐ恩返しをしてくれるって言うんだ?さあ!さあさあ!勿体振らずに言ってくれ!言っちゃってくれ!」
「ここには、恩返しで来た訳ではありません。」
「何だって!?」
俺の、俺のこれからの華やぐ人生計画が音を立てて崩れ落ちて行く。こうも音を立てて崩れ落ちて行くもんかねってぐらいに!青天の霹靂とはまさにこれだったのか!
「だったら、お前は一体何しに来たんだよ!こんな早朝!」
「昨日、お寿司屋で食べてもらえなかった怨みを晴らしに来たんです。」
「あ、そっち!」
そう言うとタコは、俺の胃袋を引きずり出し、引き裂き、引きずり回した。

第六百三十六話
「いただきますからごちそうさままで」

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2018年8月29日 (水)

「第六百三十七話」






「さて、キミを美化しようではないか!」
「僕を美化ですか?それは一体どう言う意味なんでしょう?」
「人は、人をどう言う時に美化するか分かるか?」
「さ、さあ?」
「人が、人を美化する時、それは人が死んだ時だ!」
「確かに、え?僕を美化するってそれってつまりは?」
「ああ、そうだ。キミを殺すと言う事だ。」
「僕は、美化なんかされたくない!」
「美化とは、キミがされたいかどうかではない。私がしたいかどうかなのだよ。素晴らしい人だったと、伝えられるのだぞ?」
「そんなの間違ってるっ!!」
「フハハハハハハハハ!!」
「やめろーっ!!!」

 

第六百三十七話
「誰かの心が傷付く覚悟で美化を口にせよ」

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