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2018年11月28日 (水)

「第六百五十話」

「ちょっと!何でディフェンスすんのよ!」
「ディフェンスしたら悪いか?」
「おじさんね!これ、犯罪だよ!」
「犯罪?お嬢さん?それは一体どんな犯罪だ?」
「ディフェンス罪よ!ディフェンス罪!」
「ディフェンス罪?聞いた事ないなぁ?そんな罪は?」
「いい?如何なる理由があったとしても、何人も人の道を塞いじゃいけないの!ディフェンスしちゃダメなの!それを破れば罪になるの!ディフェンス罪になっちゃうの!」
「ほう!そんな法律が?」
「ディフェンス法よ!知らないの?」
「知らない。」
「おじさん?よく、おじさんになれたね?」
「健康管理に気を付けてれば、男子いつかはおじさんになる!」
「はいはい、どうでもいいからディフェンスやめてくんない?急いでるの!」
「お嬢さん、そんなに急いでどこへ行く?」
「何で、知らないおじさんに言わなきゃなんないの!」
「お嬢さん?そんなに急いでどこへ?」
「だから!何でそんな事をわざわざ知らないおじさんに言わなきゃいけないのよ!」
「知らないおじさんにだからこそ言えるって事もあるだろ?」
「それはだいぶ特殊な状況下だと思うけど?」
「占いとか?」
「そう!」
「カウンセリングとか?」
「そう!」
「面接とか?」
「そう!って、特殊な状況下を掘り下げなくていいの!」
「こうは考えられないか?おじさんは、お嬢さんの命を守る為に、こうして両手を広げて行く手を阻んでいる、と。」
「いや考えられないよ!単に頭の中のネジがどうかしちゃったおじさんが、こんな事してんのかなって考えちゃうよ!あのね?おじさん?いい?アタシ、洋服を買いに行くの!だから、急いでこの先の駅前のお店に行かなきゃなんないの!分かる?セールなの!前々から欲しかった洋服がセールなの!」
「おじさんは別にそんな服は欲しくないな。」
「何でおじさんの為に、わざわざアタシがワンピースを買うのよ!アタシがって言ってるでしょ!とにかくそこをどいて!」
「いいや、どかない!」
「何でよ!何の権限があってディフェンスしてんのよ!いい?さっきから言ってるけど、こんなとこを警察の人に見付かったら、おじさん逮捕されちゃうんだよ?いいの?即逮捕だよ!」
「それが運命だと言うなら、おじさんはその運命に従うまでだ。」
「抗えよ!おじさん!」
「お嬢さん?おじさんはね?抗う事に疲れてしまったんだよ。」
「どんな人生よ!」
「おじさんが生まれた年は丁度」
「いい!いいから!おじさんの人生を掘り下げなくていいの!お願いだからディフェンスしないで!」
「お嬢さん?お嬢さんの言ってる事が本当だとしてだ。本当にそれでいいのかい?幸せになれるのかい?」
「いいに決まってんじゃん!幸せになれるに決まってんじゃん!前々から欲しかったワンピースがセールなのよ?」
「洋服の話じゃない。」
「じゃあ、何の話?」
「ディフェンスの話だ。如何なる理由があったとしても、何人も人の道を塞いではいけないと言うディフェンス法の話だ。そんな世の中が、本当にいいと思うか?幸せだと思うか?」
「頭のいい大人の人達が決めた事なんだから、そうなんじゃないの?それに!現にアタシはディフェンスされて、不幸だもの!洋服を買いに行けないんだもの!ディフェンス法は正しかったと言わざるを得ないでしょ!」
「お嬢さん?おじさんはね。基本的に法は守らなければならないって考えだ。」
「当たり前の考えを当たり前に言葉にしなくても良くない?」
「だが!!」
「急に大声とかやめてよ!?」
「法を守って人を見殺しにするなら!そんな法なんてクソ食らえ、だ!」
「何?何なの?ここで、おじさんがアタシをディフェンスしなかったら、アタシが殺されるって言いたいの?」
「だいぶ前に、そう言ったじゃないか。」
「マジ?あれ、マジだったの?ギャグじゃなくて?」
「ギャグで法を犯すほど、おじさんは愚か者じゃない。」
「それが大マジなら、おじさん、何者?何でアタシが殺されるって分かるの?」
「説明法を知らないのか?」
「何それ。」
「如何なる理由があったとしても、何人も人に説明をしてはならない。」
「法の根底を覆す法ね。」
「それと!お嬢さんが欲しがってるワンピースは、セール対象外だ!」
「なんと!?」

第六百五十話
「法」

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