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2018年11月14日 (水)

「第六百四十八話」

「先生、とても美味しそうなオムライスが完成しましたね。」
「完成?まだ、完成ではありません。」
「もう一手間何か加えるんですか?」
「最後の仕上げに、オムライスをボウガンで撃ちます。」
「はい?」
「行きますよ!」
「ちょ、ちょっと待って下さい!?先生!?」
「何ですか?」
「せっかく作ったオムライスをボウガンで撃つんですか?」
「そうです。ボウガンで撃つ事によって、凄くオムライスが美味しくなるんです。」
「どう言う原理ですか?」
「どう言う原理かは、私も全く分かりません。でも、ボウガンで撃つ事によって、オムライスは確実に凄く美味しくなるんです。」
「でも、ボウガンでオムライスを撃ったりなんかしたら、飛び散るんじゃないですか?」
「飛び散りますよ。もちろん飛び散ります。でも、その飛び散りがいいんです。その飛び散りがいいんじゃないですか。」
「いや、その飛び散りの一体何がいいのか僕には分かりません。僕は、このままこのオムライスを食べた方が確実に美味しいと思うんですが?」
「そこが、素人と料理研究家との違いです。オムライスは、ボウガンで飛び散らかした方が絶対に美味しいんです。」
「オムライスが飛び散らかした方が美味しくなるなんて、初めて聞きましたよ。なら、ボウガンじゃなくて拳でもよくないですか?拳でオムライスを飛び散らかせばいいじゃないですか。その方が何かよくないですか?何となくよくないですか?」
「よくないです!!ボウガンで、です!いいですか?生で食べられる全ての食材は生で食せばいいのに、焼いたり煮たり干したりと、いろいろと手を加えますよね?それはなぜか?それは、より美味しくその食材を食したいと言う人間の探究心です。」
「それとこのオムライスをボウガンで撃つのとが同じだって言うんですか?」
「そうです!ボウガンがいいんです!いや、ボウガンじゃなきゃダメなんです!私は、料理研究家です!料理人なら、普通にオムライスを作るまでで止めればいい!でも、料理研究家はそこでは止まれない!料理には、ある種の人間の破壊衝動が隠されていると私は考えています!いえ、食する行為事態そのものが破壊衝動なんです!そこを探究してしていくと究極の仕上げは、武器による破壊!私は、あらゆる武器と言う武器でオムライスの仕上げを試しました。」
「えっ?」
「こちらがトンファーで仕上げたオムライスです!」
「先生?」
「トンファーではあまりにも強過ぎる!」
「これらがヌンチャクで仕上げたオムライスです!」
「ちょっと先生?」
「ヌンチャクでは仕上がりにムラが出来る!」
「こちらが三節棍で仕上げたオムライスです!ご覧の通りただのオムライスです!三節棍は扱いにくい!とにかく扱いにくい!」
「なぜマイナー武器をチョイスなんでしょう?」
「ロケットランチャーやバズーカやショットガンやマシンガンももちろん試しました!」
「試したんですか!?ニュースになっちゃいますよ?いや、それ以前になぜそんな多くの武器を所有してるんですか?」
「そして偶然辿り着いたのがボウガンです!」
「どう言う状況なんでしょうか?なぜ、ボウガンが偶然で、三節棍が必然なんでしょうか?」
「とりあえず言いたい事は!食してから言ってもらいたいもんです!」
「これは何なんでしょう?僕は今、一体どんな状況下なんでしょうか?オムライスを作った料理研究家が、そのオムライスをボウガンで撃とうとしている!これはもう、パニックですよ!パニック以外の何ものでもありませんよ!」
「えい!」
「あっ!?」
「さあ、残さず召し上がれ!」
「飛び散りもですか?」
「その飛び散りが美味!」

第六百四十八話
「武器メシ」

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