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2019年2月

2019年2月 6日 (水)

「第六百六十話」

「ちょっと待て!」
「何か?」
「ワシの方が先だろう!」
「お爺さん?ここは公園で、そしてここはブランコ乗り場ですよ?」
「ああ!知っとる!」
「なら、子供優先じゃありません?」
「はあ!?」
「お爺さんが先にブランコを掴んだのは分かってます。でもね?子供がいたら、子供に譲る。それが大人ってもんじゃありません?でももし、それでもお爺さんが自分が先にブランコを掴み取ったんだから、自分を先に乗せろっておっしゃるのなら、頭狂ってんですか?」
「狂うか!ワシだって、仮に自分がブランコを先に掴んだとして、その後に子供がブランコを乗りたそうにしてたら、メチャンコ乗りたいブランコだが!そこは迷わずに譲るわい!」
「だったら、話は早いですね。」
「だから!もし仮に自分がブランコを掴んだとして、子供が乗りたそうにしてたらの話だ!」
「やっぱり頭狂ってんですか?」
「狂うか!」
「だってそのもし仮にが、現実に目の前に今まさに起こってるのに、なぜ?」
「頭狂ってんのは女!お前の方だ!」
「アタシが?アタシが頭狂ってるですって?お爺さん?それは、お爺さんの頭が狂ってるから、正常頭のアタシが狂って思えるんですよ?」
「何を言っとるんだ!そもそもお前は子供なんか連れとらんだろ!」
「はい?ここにいるでしょ!ここに!」

第六百六十話
「ウォーク・イン・ザ・パーク」

「市長?住民から公園のすべり台についてクレームが出ている件で宜しいですか?」
「はあ?おかしくないか?私は、住民から公園にすべり台がないのはおかしいってクレームを受けて、公園にすべり台を作ったんだぞ?なのに今度は、そのすべり台を作ったら作ったでクレームだと?この町の住民は一体どうなってんだ!」
「市長がすべり台を公園に作った事は、住民も喜んでいたようです。」
「だったらそれでいいじゃないか!問題解決じゃないか!何でそんな手のひらを返すような事が起こるんだ!」
「ビームです。」
「何?」
「すべり台自体には問題ありません。しかし、そのすべり台からビーム光線が発射される事に問題があるようです。」
「じゃあ、何か?住民は、すべり台の殺人ビーム光線を子供達が遊んでる時に誤射される事を問題にしてクレームを言ってるって言ってるのか?」
「そうです。」
「ふざけるな!子供の力で殺人ビーム光線が誤射されるはずがない!そう言う設計だ!」
「確かに子供の力ではそうですが、住民は大人の力で殺人ビーム光線が発射される事を問題にしています。」
「テロか?」
「それも含めてです。」
「毒ガスシーソーはよくて、なぜ殺人ビーム光線すべり台が何でダメなんだ!」

第六百六十話
「ウォーク・イン・ザ・パーク」

「おばさん!何してるんですか!」
「何してるって、青年?見て分かるだろ?砂場で城を作ったんだよ。」
「いやこれは、砂場で城を作ったレベルの城じゃないじゃないですか!公園に砂の城を作っちゃったレベルですよ!」
「結果的にそう見えるかもしれないが、事実砂場で城を作ってたらこうなったんだから、これは砂場で城を作った、だろ?」
「だろ?って!しかもこの城、おばさんが一人で作ったんですか?」
「青年?おばさんが公園の砂場で城を作ってて、お手伝いしましょうか?何て声を掛けて来る変わり者がいると思うか?アタシだったら、気持ち悪くて声を掛けるどころか、目が合わないようにして黙って通り過ぎるね。」
「おばさんが一人で!?しかも、僕は昨日の夕方にもこの公園の前を通ったんですよ?その時には砂場でおばさんを見掛けなかった!つまり、おばさんは一晩で砂の城を作ったって言うんですか!?」
「青年?それが事実として目の前にある以上、そう言う事として現実を受け止める他ないだろ?」
「受け止めきれない!受け止めきれない!さっき大学の合格発表を見に行った時ぐらい受け止めきれない!」
「まあ、そこについて何があったか聞かないよ、青年。」
「ありがとう、おばさん。」

第六百六十話
「ウォーク・イン・ザ・パーク」

「なあ?雲梯?」
「何だ?訳の分からない遊具?」
「いいよな、雲梯はさ。」
「何だよ改まって、訳の分からない遊具。」
「いやまあほら、ボクなんかからしたらさ。つくづくだなって思っちゃう訳だよ、雲梯。」
「何がつくづくなんだ、訳の分からない遊具?」
「羨ましいなって思っちゃう訳だよ、雲梯。」
「何がそんなに、羨ましいんだ、訳の分からない遊具?」
「だって、子供達に毎日毎日遊んでもらってるじゃないか!ボクなんて、作られてから今日まで一回も子供達に遊ばれた事がないんだよ!」
「確かに、子供達が遊んでる姿をキミが作られてから今日まで一回も見た事がないね。」
「何でだろう?」
「何でだろうって、訳が分からない遊具だからだろ?つまり、子供達はキミの遊び方が分からないから遊ばない。」
「まあ、確かに不気味な形だし、不気味な色だし、不気味な感触だし、不気味な装飾だし、不気味な音がするし、とにかく不気味だけど!物凄く魅力的で素敵なハンドルがあるんだよ!その不気味の先には、物凄く魅力的で素敵なハンドルがあるんだよ!」
「でもそのハンドル、回らないんだろ?」
「回らない!回らないけど!こんな急な雨の時ぐらい雨宿りしてもよくないか?不気味だけど絶対に濡れないよ!そうだろ、雲梯!」
「こんな急な雨の時でも雨宿りしたくないぐらい不気味なんだろ、訳の分からない遊具。」

第六百六十話
「ウォーク・イン・ザ・パーク」

「ジャングルジム高いっ!?」

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2019年2月13日 (水)

「第六百六十一話」

 妻と夫。いつもとは何やら少し異様なリビング。
「おい、おいおいおいおい!そんなハンマーなんか振り上げて、一体どうするつもりだ?」
「別に?」
「おい、おいおいおいおい!そんなハンマーなんか振り上げて、一体どうするつもりだ?の答えが、別に?なはずがないだろ?」
「本当に、別に?なんだから仕方ないでしょ?」
「なあ、なあなあなあなあ?オレは、ソファーに座ってる。オマエは、オレの目の前に立ってる。しかもハンマーを振り上げた状態でだ。なあ、なあなあなあなあ?一体どうするつもりだ?その振り上げたハンマー、お前は一体どうするつもりだ?」
「アナタ、まさかアタシがこの振り上げたハンマーを振り下ろすと思ってんの?」
「この状況で、それ以外に一体何が思い付くんだよ!しかもオレは、オマエがオレの頭にハンマーを振り下ろすと思ってるぞ!」
「そんな事したら、アタシは殺人犯じゃない。」
「そうだ!」
「何で?」
「それは、オレの台詞だ!何でこんな真似をしてるんだ!ジョークでやってるんだとしたら!これはあまりにもジョークになってないぞ!」
「もちろん、ジョークなんかでこんな事してないわ。」
「ならやっぱり、オレの頭を叩き割るつもりなんだな!」
「そんな事する訳がないって何度言えば分かるの?」
「なあ、なあなあなあなあ?この状況で何度そんな事を言われても分からないだろ!分かる訳がないだろ!」
「なら、どうしたら分かってもらえるの?」
「オレにその振り上げたハンマーをゆっくりと下ろして手渡すんだ。」
「そんな事、出来る訳ないでしょ。」
「何でだ!それはハンマーを振り下ろしてオレを殺そうとしてるからだろ!それはハンマーを振り下ろしてオレを殺そうとしてるからだろ!!」
「だから違うって言ってるでしょ。」
「じゃあ!何なんだよ!とにかくこの状況を説明してくれよ!」
「どうしてだと思う?」
「ここへ来て質問返しかよ!」
「アナタは、どうしてアタシがハンマーをアナタの目の前で振り上げてるんだと思う?」
「オレを殺そうとしてるからだろ?」
「それは違うって何度も言ってるでしょ?それ以外でよ。」
「オレを殺そうとしてる訳じゃない?」
「そう。」
「何か面白い答えをすればいいのか?」
「面白い答え?」
「ああ、オレがここで何か面白い答えをすれば、許してくれるのか?」
「許す?別にアタシは怒ってる訳じゃない。」
「怒ってないのにハンマーって人の頭上で振り上げるもんなのか?」
「そうね。」
そう言うと妻は、夫の頭上目掛けてハンマーを振り下ろした。夫は咄嗟にそれを避け、絨毯の上に倒れ込んだ。
「おい、おいおいおいおい!やっぱり振り下ろしたじゃないか!オレを殺そうとしたじゃないか!」
「なぜ避けたの?」
「なあ、なあなあなあなあ?なぜ避けた?なぜ避けただと?そんな単純な質問をするか?そんなの殺されたくないからに決まってるからだろ!死にたくないからだろ!」
「だから、殺そうとしてる訳じゃないって何度も言ってるでしょ?」
「予想が確信に変わった今!その言葉を信用出来ると思ってんのか!」
「信用してもらうしかないわね。次は、避けないでね。」
「そんな宣言されて避けるに決まってるだろ!」
そう言って妻が頭上に振り下ろしたハンマーを夫は身を捩って避けた。
「ちょっと!避けないでって言ってるでしょ!」
「何なんだよ!どう言う事なんだよ!この状況は!オレが一体何したって言うんだよ!何でオレは頭上にハンマーを振り下ろされなきゃならないんだよ!」
そう言うと夫はリビングから逃げ出そうと立ち上がった瞬間に、足首を捻ってしまった。
「お願い。もう避けないでね。」
「ま、待て!やめろぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」

第六百六十一話
「貯金箱」

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2019年2月20日 (水)

「第六百六十二話」

 高価な美術品が展示されている深夜の美術館。いかにもな二人組の男達がそこにいた。
「この宝石ですか?アニキ!」
「声がデカいぞ。」
「すいません。」
「そっちの宝石じゃない。この宝石だ。」
「え?でも、見るからにこの宝石の方が高価そうですよ?」
「高価は高価だが、この宝石に比べたらゴミだ。」
「いや、どちらかと言うとアニキの目の前の宝石の方がゴミに見えますけど?」
「一見な。だが、価値はこの宝石の方が遙かにあるんだよ。」
「そう言うもんなんですか?オレは見るからに高価なこの宝石の方がいいですけどね?」
「だから、間違ってないんだよ。高価なのは合ってんだよ。そもそもこの美術館の中にある展示品は全て高価なんだよ。けどな?その中で一番高価なのは、この宝石なんだよ。そして、オレ達は高価な展示品だらけの美術館の中で一番高価な展示品を盗み出す怪盗団だ。分かるな?」
「ヘイ。」
「いや、分かってないじゃん。」
「ヘイ?」
「今、その宝石を盗もうとしただろ?」
「ヘイ。」
「だから、オレ達は、高価な展示品だらけの美術館の中で一番高価な展示品を盗み出す怪盗団だろ?」
「ヘイ。」
「いやだから、何でその宝石を盗もうとする?オレ達のポリシーは、美術館の中で最も高価な品物だけを盗み出す、だろ?つまり今回のそれは、これだよ。」
「アニキ?アニキを疑う訳じゃありませんけど、本当にこの宝石よりもその宝石の方が高価なんですか?」
「おもいっきり疑ってんじゃん!そうだっつってんじゃん!」
「アニキ、声が。」
「ああ、すまん。」
「でも、見るからに展示品の中で最も安価に見えるんですけど?」
「いいか?最も高価な品物ってのはな?最も安価な品物に見えるもんなんだよ。」
「なるほど。」
「テイ!」
「痛っ!?何するんですかアニキ!?いきなり手刀で手首を!?」
「だから何でその宝石を盗もうとする?」
「だってアニキ?どうしてもそのシンプルな宝石よりも、この豪華絢爛な宝石の方が高価じゃないなんて信じられないんですよ。いや、アニキの事は信じてます。信じてるんです。でも、自分の気持ちが納得出来ないと言うか。」
「いいか?高価な品物ってのは、シンプルなんだよ。無駄を削ぎ落として行くと結果的にとことんシンプルになるんだ。」
「でも、それって、内に秘めた高価ですよね?」
「何だ?その内に秘めた高価ってのは?」
「つまりは、自己満足って言うヤツですよね?だって、第三者からしたら、明らかにシンプルな宝石よりも豪華絢爛な宝石の方が高価だって思いますよ?シンプルが高価って、それって分かる人には価値が分かるってヤツですよね?大概、そう言うのって、金額を聞いて驚くシステムで、その後に心の中でこう思うんですよ。コイツ、こんなのにそんな大金はたいたのか、ってね。」
「そうだよ。オマエの言う通りだよ。高価ってのは、大概そんなもんだよ。」
「だったら。」
「テイ!」
「痛っ!?」
「いいか?オレ達は、怪盗団だ。コレクターじゃない。このシンプルな自己満足の宝石は、金になるんだ。大金だ。いいか?目の前の装飾に騙されるな?いいか?目の前にある品物をシンプルな宝石と豪華絢爛な宝石だと思うな。いいか?オレ達が見てるのは、金だ。いいな?大金だ。」
「大金、大金、大金。」
「そうだ。」
「大金。」
「テイ!」
「痛っ!?」
「どうしてそっちに手を出そうとする!こんだけ言っても分からないって、バカなのか?」
「自分でも分かりませんよ!なぜか手が出ちゃうんですよ!」
「だから、テイ!」
「痛っ!?そんなにテイテイされたら、手首ちょん切れちゃいますって!」
「ちょん切れちゃえよ!テイ!」
「痛っ!?今度から手首にトゲトゲブレスレットしちゃいますよ!」
「しろよ!それでもオレはテイするよ!」
「ええ!?何でそこまでテイしたいんですか!」
「テイしたい訳じゃない!オマエが間違った方を盗もうとするからテイするだけだ!オレだって出来る事ならテイしたくないんだよ!いいから、こんな下らないやり取りしてる場合じゃないんだよ!さっさと宝石を盗み出さないと捕まるぞ!」
「分かりました。」
「テイ!」
「痛っ!?」
「狂っちゃったのか!」
「狂ってません!」
「テイ!狂っちゃってんじゃん!」
「狂っちゃってません!」
「こんなとこで、こんなテイテイして捕まってる場合じゃないんだよ!さっさと終わるはずの仕事に何でこんなテイテイで時間掛けなきゃなんないんだよ!何?オマエ、むしろテイされたいのか?」
「テイされたくありません!」
「なら、オレにテイさせるような事をするなよ!」
「すいません、アニキ。」
「本当だろうな?そのすいませんは、本当なんだろうな?」
「本当です。」
「信じていいんだろうな?」
「信じて下さい、アニキ。」
「次のテイは今までのテイとは違うぞ?」
「大丈夫です。信じて下さい、アニキ。」
「分かった。信じる。」
「ありがとうございます、アニキ。」
「せーの。」
「せーの!」
「首筋にテイ!」
「・・・・・・。」

第六百六十二話
「テイの言い方しだいで面白さ無限大のお話」

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2019年2月27日 (水)

「第六百六十三話」

「ねぇ?おばちゃん?」
「何だい?僕ちゃん?」
「本当に、こんな多目的トイレの中にいて大丈夫なの?」
「僕ちゃん?僕ちゃんはまだ、僕ちゃんだから分からない事が、僕ちゃんだらけと思うけどね?こう言った災害の時は、多目的トイレの中が一番安全なのよ?」
「災害って、これ災害なの!?ゾンビだらけが災害なの!?」
「そうなの。これは、災害なの。まあ、詳しく言うと、人災ね。こう言った街中がゾンビだらけになるのは、人災って相場が決まってるの。」
「そうなんだ!おばちゃんって何でも知ってるんだね!」
「僕ちゃん?おばちゃんはね?何でも知ってるの。長ネギがどこが一番安いかとか知ってるの。」
「凄いね!おばちゃん!でも、人災って何?」
「さあ?人災って何かしらね?何でも知ってるけど、おばちゃんそこだけは分からないわ。とにかく映画だとね?」
「映画だと?」
「そう、映画だとある研究者が研究してたゾンビウイルスが何かしらのきっかけでこの動物園に散布されちゃったみたいね。」
「ウイルス?病気って事?」
「そうね。」
「じゃあ!治せるの!パパもママも治せるの!」
「そうね。」
「良かった!おばちゃん治せるんだ!」
「おばちゃんは治せない!おばちゃんは治せない!」
「おばちゃん治せないの!?治し方知らないの?」
「おばちゃんはね?何でも知ってるけど、おばちゃんそこだけは分からないわ。」
「何だよ!おばちゃん!何にも知らないじゃないか!」
「知ってるわよ!長ネギがどこが一番安いかとか!肉が腐りかけるタイミングとか!」
「そんなの知ってても今は意味ないじゃん!そんなの知ってたって、僕のパパやママは、ゾンビのままじゃないか!」
「僕ちゃん!僕ちゃんいい?大事な事だからちゃんと聞くのよ!」
「何?」
「こう言った場合、ここでジッとしてるのが一番いいの!今頃ね!そう今頃、ゾンビを治すワクチンを探してるの!」
「誰が?」
「それが誰だかは、おばちゃんにも分からないわ。でもね?そう言った役割の人がいて、今頃動物園内のゾンビゴリラとかゾンビライオンとかゾンビワニとかゾンビフンボルトペンギンとかと戦いながら、その謎を解明してる最中なの!おばちゃんと僕ちゃんは、ここで待ってればいいの!ここでジッと待ってればいいの!そう言った役割なの!」
「何で、多目的トイレの中にいるおばちゃんにそんな事が分かるんだよ!」
「映画とかだとそうだからよ!」
「知識を映画に頼り過ぎだよ!これは現実なんだよ!おばちゃん!」
「そうね。僕ちゃんの言う通り、これは紛れもない現実ね。でもね?映画も現実なのよ?」
「違うよ!映画は映画だよ!作り物だよ!」
「解釈の問題ね。」
「どう言う意味?」
「映画も所詮は、現実世界で上映されてる以上、それはそれで現実よ。」
「屁理屈だ!」
「僕ちゃん?優しい屁理屈も時には、生きて行くには大切なの!優しい嘘がいい例ね。」
「優しい嘘がいい例だったら、おばちゃんの優しい屁理屈は悪い例だ!ねぇ?おばちゃん?」
「何?僕ちゃん?」
「もしもだよ?もしも、おばちゃんの言ってる事が本当だとしてだよ?今、動物園内で誰かがアニマルゾンビ達と戦いながらゾンビウイルスのワクチンを探してるとしてだよ?動物園内って、アニマルゾンビだけじゃないよね?人間ゾンビ達もいるよね?」
「そうね。沢山の人間ゾンビどもがいるわね。」
「じゃあ、そのヒーローみたいな存在は、人間ゾンビとも戦うって事じゃん!」
「そうね。襲い掛かって来る人間ゾンビどもの頭を撃ち抜くわね。」
「死んじゃうじゃん!」
「そうね。でもそれは仕方のない事ね。それが人間ゾンビどもの宿命ね。」
「おばちゃん?一旦、どもって言うのやめよ!じゃあ、そのヒーローみたいな存在の人に、僕のパパやママが襲い掛かったら、頭を撃ち抜かれて殺されちゃうって事じゃん!例えワクチンを探し出したとしても僕のパパとママは死んじゃってんじゃん!」
「いや、僕ちゃんのパパとママは、その辺大丈夫なんじゃないかな?」
「何で大丈夫なの!頭を撃ち抜かれてんだよ!大丈夫な訳ないじゃん!」
「いや、大丈夫っしょ!大丈夫大丈夫!うん!大丈夫!」
「慰め史上最高に下手クソか!」
「僕ちゃん!いい?僕ちゃんだけじゃないの!その悲しみを心に秘めてるのは!家族や友人、大事な人がゾンビになってしまった人、みんなが持ってるの!だから、めっ!」
「めって、おばちゃんも大事な人がゾンビになっちゃったの?」
「おばちゃんは、天涯孤独だから、僕ちゃんのその悲しみは持ち合わせてないわね。」
「じゃあ、雰囲気ありありで言わないでよ!」
「でも、おばちゃんは何でも知ってるから、そう言った悲しみを心に秘めてる人間の気持ちが分かっちゃうの。それに」
「ねぇ?おばちゃん?」
「おばちゃんはね?何でも知ってるのよ?長ネギがどこが一番安いかとか電池の切れるタイミングとかね!」
「おばちゃん!」
「どうしたの!」
「な、何かドアの向こうから音がしてるみたいなんだけど。」
「多目的トイレだからでしょ。」
「そうじゃなくて!本来の多目的トイレ的なもんじゃなくて!ゾンビ!ゾンビだよ!きっとゾンビがドアの向こう側にウジャウジャいるんだよ!」
「大丈夫よ!僕ちゃん!もしも多目的トイレの中にゾンビが入って来るような事があれば、おばちゃんがこの長ネギで僕ちゃんを守って上げるから!」
「長ネギ!?」
「動物園の近くで激安の爆安だったのよ。でも、僕ちゃんを守る為だったら、おばちゃん委とはないわよ!」
「おばちゃん!」
「何!次から次へと!」
「多目的トイレの鍵!掛け忘れてるよ!」
「来い!人間ゾンビども!」
「本気で長ネギで迎え撃つの!?」
「おばちゃんこれでも歴は長いのよ!歴は!」
「剣術の?」
「おばちゃんのよ!」
「神様ーっ!!」
「ヘイヘイヘーイ!」

第六百六十三話
「長ネギに含まれる成分がワクチンでしたと言う」

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