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2021年5月26日 (水)

「第七百八十話」

「遂に!遂に!遂に明日完成だ!」
「おめでとうございます!博士!」
「ありがとうございます!助手!遂に明日完成だ!やったぞー!」
「本当におめでとうございます!博士!でも、こう言うのって明日歓喜するものなんじゃないんですか?完成した時に、完成したぞ!って、歓喜するものなんじゃないんですか?」
「何を言っているんだ!明日完成するのは確実なんだぞ!それはもう確実に明日には完成するんだぞ!と言う事はだ!もう既に完成したも同然!だったら歓喜するだろ!いや、ここで歓喜しないで一体いつ歓喜するんだ!助手!」
「明日、じゃないですか?やはり確実に完成した時に歓喜するんじゃないんですか?それとも明日は明日で、完成した時に歓喜するんですか?」
「しないよ。」
「え?」
「する訳がないだろ。」
「何で訳がないんですか?完成してるのに、何で訳がないんですか?」
「だから、完成は今してるからだろ!」
「してないじゃないですか!完成するのはあくまで明日で、今日は明日の完成が確実になってるだけじゃないですか!」
「細かい男だね。女子に嫌われるぞ。」
「どこが細かいんですか!完成を控えた今日と完成した明日じゃ、全く違うじゃないですか!」
「細かい男だね。女子に嫌われるぞ。」
「何でそればっかなんですか!」
「とにかくだ!確実に明日完成するんだから歓喜してもいいだろ!」
「いいんですよ!歓喜しても!」
「いいんじゃん!」
「問題は明日本当に完成した時に歓喜しないってとこですよ!」
「本当にって、今日だって本当に明日完成する時なんだから歓喜するだろ!」
「実物がないから!その完成した実物が!って、博士?そもそも何が明日完成するんですか?」
「世紀の大発明に決まってるだろ?」
「と言いますと?」
「世の中がひっくり返るような大発明に決まってるだろ!」
「と言いますと?」
「明日を境に世界が180度変わる大発明に決まってるだろ!」
「と言いますと?」
「細かい男だね。女子に嫌われるぞ。」
「女子に嫌われてもいいから具体的にどんな大発明なのかを教えくれないと!だって僕はずっと博士といましたけど、そんな大発明を博士が作っているところを目にしてないんですから!もうパニックですよ!一体博士は何を大発明していたんですか!助手にも分からないように隠れて何を大発明していたんですか!」
「だから、それは明日完成するんだから、明日になれば分かるだろ。」
「明日になれば分かりますけど、でもそれは今日、確実に明日完成するから完成したも同然だって歓喜していたんですから教えてくれてもいいじゃないですか!」
「サプライズ感がないだろ。」
「サプライズ感?」
「今日まで助手のキミにまで分からないように隠れて大発明していたのが、明日完成した時にサプライズしないでどうすんだ!」
「この段階で歓喜している人が言う事ですか?もう既に僕は明日何か大発明が完成するとこまで分かっちゃっているんですよ?後は何かまでのとこまで来ちゃっているのにサプライズ感!?」
「だが、その何かが重要だろ?」
「確かにそうですが!だったら博士一人で歓喜して下さい!」
「なぬ!?」
「だってそうでしょ!博士が一人で歓喜してくれれば、僕は明日までモヤモヤしないで済んだんです!」
「いやだが、こう言う事は、博士と助手、みんなで歓喜するものだろ?」
「関わってたらそうですけど!僕は全く何のお手伝いもしてないんですよ!だからもう、確実に明日完成する大発明が何なのかが気になって気になって仕方ないんです!」
「世紀の大発明だ!」
「だから!その抽象的な言い回しがかき立てるんですよ!言って下さいよ!もう言っちゃって下さいよ!」
「少し落ち着いたらどうだ?キミは、世の中がひっくり返るような大発明に携わっていないと言った。だが、キミはちゃんと携わっていたのだ。」
「いや絶対に携わってないですよ!」
「いや、知らない間にちゃんと携わっていたのだ。」
「またか!また何か知らない間にか!」
「だから、わしは確実に明日完成する今日、キミと歓喜を分かち合ったのだ。やったぞー!」
「いやだから!全てがベールに包まれ過ぎててパニックなんですよ!で、仮にこのまま明日の完成した時になりますよね?博士の歓喜が今日でピークなのに、僕の歓喜のピークが明日って、温度差あり過ぎでしょ!」
「温度差なんてそんな細かい事を気にするんじゃないよ。」
「女子に嫌われてもいいから!今すぐ!知りたいんです!」
「ダメだ!」
「何でですか!」
「あくまで完成は明日だからだ!」
「それが確実になった今日で歓喜しているのは博士じゃないですか!」
「それは、わしの中では確実に明日完成する事が分かったからの事であって、キミの中ではそうではないだろ?」
「ちょっともう、何か殺意レベルなモノが芽生えて来ましたね。」
「いや、キミはわしを殺さない。」
「なぜ分かるんですか!殺すかもしれないじゃないですか!」
「キミがわしを殺したら!確実に明日完成する大発明が完成しないからだ!」
「どう言う理屈ですか!僕が殺さないにしても何かしらの事件や事故で、博士が死ぬかもしれないじゃないですか!」
「いや、それもない!なぜなら、事件や事故でわしが死んだら、確実に明日完成する大発明が完成しないからだ!」
「だからどう言う理屈ですか!確実に明日完成する大発明からの逆算!」
「まあ、今ここでわしが死んだとしても確実に明日完成するけどな。」
「何を大発明したんだ!」

第七百八十話
「世界が変わる前日譚」

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コメント

折りに触れ、なぜかこのサイトのことを思い出します
そして来てみると、新しい話が更新されていて感動します
また覗きに来ます、たのしい話ありがとう

投稿: 無人島の話が好きな人 | 2021年5月27日 (木) 20時36分

無人島の話が好きな人様の№1を上書き出来るよな作品を目指して、これからもガシガシ書いていきます!
コメントありがとうございました。また、いつでもお待ちしております。

投稿: PYN | 2021年5月28日 (金) 17時45分

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