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2024年4月17日 (水)

「第九百三十一話」

「このアタッシュケースの中には、五千万オッカネェが入ってる。」
「五千万オッカネェ?そんな大オッカネェ、本当に入ってんのか?」
「確認してくれても構わんよ。」
「・・・マジじゃねぇか。」
「そしてそのオッカネェは、キミが自由に使ってくれて構わない。」
「俺に一体何をやらせようって言うんだ?」
「何も、だ。」
「はあ!?」
「さあ、分かったならとっとと去りなさい。」
「待った!」
「ん?何かな?」
「五千万オッカネェをただただくれるって言うのか?」
「そうだ。」
「ただただ五千万オッカネェをくれるって言うのか?」
「そうだ。」
「何かヤバいオッカネェなんじゃないだろうな?」
「ヤバいオッカネェ、とは?」
「犯罪絡みとかじゃないだろうな?強盗したとか!」
「こんな老いぼれが強盗なんか出来る訳がないだろ?」
「誰かにやらせたとか?」
「誰かにやらせたとして、なぜ強盗に成功しているオッカネェをわざわざ道で出会った見ず知らずの人間を公園に誘導してまで、上げる必要がある?」
「強盗に失敗したからだよ。」
「失敗?なら、この目の前の五千万オッカネェは、何だと言うのだね。」
「強盗には、成功したが、内輪もめして使えないオッカネェになったんじゃないか?使ったら最後、自分達まで辿り着いてしまうヤバいオッカネェ。その処分に困ったアンタは、街で出会った見ず知らずのオッカネェ欲しそうな人間に罪をなすり付ける事にした。」
「その五千万オッカネェは、私が真面目に働いて貯めたオッカネェだ。」
「これは?」
「このメモリーカードには、私が銀行から五千万オッカネェを引き出している姿が映し出されている。」
「真っ当なオッカネェって証拠か?」
「そうだ。もし、その映像を目にしても信じられないと言うのであれば、そのオッカネェは捨てるなり燃やすなりして、処分すればいい。」
「五千万オッカネェを燃やす!?」
「分かったなら、とっとと去りなさい。」
「本当に犯罪絡みじゃない綺麗なオッカネェなんだな?」
「そうだ。だが、キミがそうやって疑ってる限り、私にそれを覆す証明はこれ以上不可能だ。」
「そこまで言われたら。」
「そうだ。そうやって素直に受け取って持って帰ればいい。」
「・・・待てよ!」
「ん?」
「まさか、偽物なんじゃないだろうな?」
「偽物?さっきも言ったが、そのメモリーカードの中には、私がオッカネェを引き出している姿が一部始終納められている。」
「それは、銀行での一部始終なんだろ?」
「それの何が不満なんだ?」
「オッカネェを引き出して、俺と出会うまでの一部始終じゃないんだろ?」
「そうだが?」
「なら、途中で本物のオッカネェと偽物のオッカネェをすり替える事は可能だ。」
「そんな事をして私に一体何の得がある。」
「試してるんだよ。」
「試してる?」
「アンタは、絶対に不可能だと言われたこの国の偽物のオッカネェを作る事に成功した。」
「私が?」
「アンタの人生は、そう言う人生で、何度も何度も挑戦し、長い年月を費やして、やっと成功した。」
「偽オッカネェ作りに費やす人生、か。色々な背景が想像出来てしまうな。」
「だが、アンタは自分でそれを使う事はしない。自分の手は、あくまで汚したくないからな。だから、他人を実験にしようと考えた。」
「なるほど。」
「さあ!いい加減、正体を明かしたらどうだ!」
「はっはっはっはっはっ!」
「どうだ!正解だろ!俺で実験しようとしたのが間違いだったな!爺さん!」
「いやいや、これは、正真正銘の綺麗な五千万オッカネェだ。キミのその想像力に笑っただけだ。」
「嘘だ!」
「なら、これが偽オッカネェだとしてだ。キミを自分の完成品で実験しようとしてだ。おかしいと思わないか?」
「おかしい?何がおかしいんだ?目の前に五千万オッカネェがある現状が既におかしいってのによ!」
「逆だ。目の前に五千万オッカネェがある事が偽オッカネェでない何よりもの証拠になるではないか。」
「どこがだ!」
「キミが言うように、何らかの理由で私が偽オッカネェ作りにその人生を費やしていたとして、遂に完成したその結果を知りたいのに、五千万オッカネェもの大オッカネェを用意するのは、不自然だろ?」
「何が不自然なんだ!」
「私は、自分の人生の集大成を知りたいのに、こうして受け取って貰えない。」
「!?」
「私が本当にキミが言うような人間なら、道端に1枚だけ偽オッカネェを置いといて、それを拾った人間の後を着けた方がいいだろ?偽オッカネェを他人に使わせるには、大オッカネェ過ぎるのだよ、五千万オッカネェは。」
「じゃあ、マジで本物の五千万オッカネェなのか!?」
「最初からそう言っているだろ?」
「マジでそれを見ず知らずの人間にくれるって言うのか?」
「ああ、そうだ。」
「後で返せとか言われても返さねぇぞ?」
「そんな事は言わない。さあ、全ての疑念が晴れたのなら、アタッシュケースを持ってとっとと去りなさい。」
「・・・・・・。」
「・・・・・・。」
「・・・本当にいいんだな?」
「勿論だ。」
「うっひょーっ!!」
「・・・・・・。」

第九百三十一話
「money bomb」

「カチ!」

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