2018年11月14日 (水)

「第六百四十八話」

「先生、とても美味しそうなオムライスが完成しましたね。」
「完成?まだ、完成ではありません。」
「もう一手間何か加えるんですか?」
「最後の仕上げに、オムライスをボウガンで撃ちます。」
「はい?」
「行きますよ!」
「ちょ、ちょっと待って下さい!?先生!?」
「何ですか?」
「せっかく作ったオムライスをボウガンで撃つんですか?」
「そうです。ボウガンで撃つ事によって、凄くオムライスが美味しくなるんです。」
「どう言う原理ですか?」
「どう言う原理かは、私も全く分かりません。でも、ボウガンで撃つ事によって、オムライスは確実に凄く美味しくなるんです。」
「でも、ボウガンでオムライスを撃ったりなんかしたら、飛び散るんじゃないですか?」
「飛び散りますよ。もちろん飛び散ります。でも、その飛び散りがいいんです。その飛び散りがいいんじゃないですか。」
「いや、その飛び散りの一体何がいいのか僕には分かりません。僕は、このままこのオムライスを食べた方が確実に美味しいと思うんですが?」
「そこが、素人と料理研究家との違いです。オムライスは、ボウガンで飛び散らかした方が絶対に美味しいんです。」
「オムライスが飛び散らかした方が美味しくなるなんて、初めて聞きましたよ。なら、ボウガンじゃなくて拳でもよくないですか?拳でオムライスを飛び散らかせばいいじゃないですか。その方が何かよくないですか?何となくよくないですか?」
「よくないです!!ボウガンで、です!いいですか?生で食べられる全ての食材は生で食せばいいのに、焼いたり煮たり干したりと、いろいろと手を加えますよね?それはなぜか?それは、より美味しくその食材を食したいと言う人間の探究心です。」
「それとこのオムライスをボウガンで撃つのとが同じだって言うんですか?」
「そうです!ボウガンがいいんです!いや、ボウガンじゃなきゃダメなんです!私は、料理研究家です!料理人なら、普通にオムライスを作るまでで止めればいい!でも、料理研究家はそこでは止まれない!料理には、ある種の人間の破壊衝動が隠されていると私は考えています!いえ、食する行為事態そのものが破壊衝動なんです!そこを探究してしていくと究極の仕上げは、武器による破壊!私は、あらゆる武器と言う武器でオムライスの仕上げを試しました。」
「えっ?」
「こちらがトンファーで仕上げたオムライスです!」
「先生?」
「トンファーではあまりにも強過ぎる!」
「これらがヌンチャクで仕上げたオムライスです!」
「ちょっと先生?」
「ヌンチャクでは仕上がりにムラが出来る!」
「こちらが三節棍で仕上げたオムライスです!ご覧の通りただのオムライスです!三節棍は扱いにくい!とにかく扱いにくい!」
「なぜマイナー武器をチョイスなんでしょう?」
「ロケットランチャーやバズーカやショットガンやマシンガンももちろん試しました!」
「試したんですか!?ニュースになっちゃいますよ?いや、それ以前になぜそんな多くの武器を所有してるんですか?」
「そして偶然辿り着いたのがボウガンです!」
「どう言う状況なんでしょうか?なぜ、ボウガンが偶然で、三節棍が必然なんでしょうか?」
「とりあえず言いたい事は!食してから言ってもらいたいもんです!」
「これは何なんでしょう?僕は今、一体どんな状況下なんでしょうか?オムライスを作った料理研究家が、そのオムライスをボウガンで撃とうとしている!これはもう、パニックですよ!パニック以外の何ものでもありませんよ!」
「えい!」
「あっ!?」
「さあ、残さず召し上がれ!」
「飛び散りもですか?」
「その飛び散りが美味!」

第六百四十八話
「武器メシ」

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2018年11月 7日 (水)

「第六百四十七話」

 私は、妻を殺す為にナイフを購入しようと、今まさに店内でナイフを手に取り吟味していた。
「おい、何するつもりだ?」
すると手に取ったナイフが私に話し掛けてきた。
「え?」
「だから、俺を購入して一体何をするつもりなのかって聞いてんだ。」
「そんな事をなぜ、ナイフに答えなきゃならないんだ。」
「おい、おいおいおい、俺はナイフだぞ?」
「そんな事は、分かってる。」
「人殺しの道具として作られた訳じゃない。」
「え!?」
「おい、おいおいおい、ちょっと待ってくれ。その反応を見ると、お前は俺を人殺しの道具として購入しようとしてたってのか?」
「そんな訳ないだろ。」
「本当か?」
「当たり前だ。私は、今度行くキャンプの為にナイフを購入しようとしてるだけだ。」
「キャンプに行きそうな感じには見えないけどな。」
「それはそうだ。今度のキャンプが初めてのキャンプなんだからな。」
「怪しいもんだな。」
ナイフだから鋭いのか?しかし、このナイフは完全に私と言う人間を見くびっている。事実、私は本当に今度、初めてのキャンプに行く。そして、本当にそのキャンプの為にナイフを購入しようとしている。嘘はない。私の発言に何一つ嘘はない。ただ、事実の真実を隠しているだけだ。
「やめといた方がいいと思うぞ?」
「なぜだ?前々から家族全員で楽しみにしていたキャンプだ。やめる要素はない。」
「そこで誰を殺すつもりだ?妻か?」
「何!?」
「図星ってヤツか。やめとけやめとけ。」
「違う!私はそんな事の為にナイフを購入しようとしているんじゃない!」
「声、デカいぞ。」
「・・・・・・。」
「お前が、どうやって妻を殺そうとしてるのか分からないし分かりたくもない。なぜ、妻を殺そうとしてるのか知らないし知りたくもない。」
「だったら、放っといてくれ。」
「だから言ってるだろ?俺は、人殺しの道具として作られた訳じゃない。」
「・・・・・・。」
「考え直せ。家族全員でって、お前は言っただろ?お前が妻を殺したら、残された子供はどうなる?」
「・・・・・・。」
「お前は、自分の事しか考えてない。子供の事を考えろ。残された子供の未来を考えろ。」
「・・・・・・。」
「黙ってないで何とか言ってみろ。」
「ウンコ漏れた。」
「ウンコ漏れた!?」
「ああ、そうだ。ウンコ漏れた。」
「本当か?」
「大の大人がウンコ漏れたなんて嘘吐く訳がないだろ。」
「だとしたら、なぜ直立不動なんだ。」
「別にいいだろ?」
「よくないだろ!ウンコ漏れたんなら、さっさとトイレに行ったらどうなんだ!」
「トイレに行くか行かないかは、私の自由だろ?」
「大の大人なら行くだろ!」
「それはどうだろうか?」
「お前の言ってる意味が分からない!」
「今更トイレに行ったとこで、どうなる?完全にウンコ漏れた状態でトイレに行ったとこで、そこで何一つ問題は解決しない。」
「問題は解決しないとしてもだ!それがマナーだろ!」
「それがマナーだと言うならば、私がやるべき事は、一秒でも早くナイフを購入して、この店を立ち去る事だ。」
「おい、おいおいおい、本当にウンコ漏れたのか?事態を収束させる為に下らない嘘を吐いてるんじゃないのか?」
「嘘は吐いてない。店内のざわつき具合を感じれば分かる事だ。」
「お前、恥ずかしくないのか?」
「恥ずかしくない?仕様がないだろ?ナイフと違って、人間は排便をする。しかもその排便は、予測不可能だ。散歩中に突然、エレベーターのボタンを押した瞬間、玄関のドアを開ける今まさにその時、それは訪れる。それがたまたま今で、私はやってしまっただけの話だ。」
「お前!」
私は、嘘など吐いていない。事実、本当にウンコを漏らした。本当にウンコを漏らしきった。本当にウンコを漏らし尽くした。ただ、事実の真実を隠しているだけだ。
「キャンプが楽しみだ。」
「待て!」
私は、話し掛けてきたナイフを元の場所に戻し、その横の話し掛けてこないナイフを手に取り、その場を立ち去った。この店に二度と来られなくなってしまったし、スーツをダメにしてしまった事は残念だが、何も問題はない。
「カードで。」

第六百四十七話
「排便力」

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2018年10月31日 (水)

「第六百四十六話」

 家に刑事がやって来た。私は、その刑事を家に招き入れた。それはなぜか?なぜならそれは、私が何一つ刑事に疑われるような事をしていない善良な国民だからだ。テーブルに向かい合って座ると、刑事は私が淹れたコーヒーを一口飲み、話を始めた。
「美味しいですね。」
「ありがとう。豆には拘っているものでね。」
「もしかして、こう言う職業をされていたとかですか?」
「いいや、年を取ると何か一つぐらい趣味を持たないと一日が長くてね。退屈で退屈で、死んでしまう。」
「こんなに美味しいコーヒーを淹れられるなら、お店を開いた方がいいですよ!ご自分だけで楽しまれるのは、罪ですよ。」
「ありがとう。だが刑事さん?」
「はい。」
「ここへ来たのは、私のコーヒーを褒める為ではないのだろ?」
「・・・ええ、実は殺人事件が起きましてね。」
「世の中いつも物騒だが、こうして目の前の刑事さんの口からその言葉を聞くと、改めて実感させられるよ。」
「殺されたのは、この写真の男です。」
「なるほど、私の所に刑事さんがコーヒーを飲みに来た理由が分かった。ああ、彼は私がコーヒー豆を買いに行くお店の店長さんだ。」
「貴方が、彼の店でコーヒー豆を買われた最後のお客さんのようです。」
「そうか。それはとても残念だ。今あるコーヒー豆がなくなったら、これからどこでコーヒー豆を買うか、しばらくは運動に困らないかもしれないな。早く、犯人を捕まえて下さい。」
「はい。それでですね?大変申し訳ないんですが、捜査にご協力をお願いしたいんです。」
「協力と言っても、彼とは客と店長の関係で、特に親しい訳でもない。コーヒー豆を買いに行った時に世間話をする程度だ。」
「ええ、あのう?そう言う会話によるご協力ではなくてですね。何て言うかそのう?」
「ん?どうした?」
「本当の本当に大変申し訳ないんですが、捜査にご協力をお願いしたいんです!」
「ああ、だからするよ。店長さんを殺した犯人を捕まえてくれるなら、喜んで協力する。だがさっきも言ったが私」
「髪の毛を一本下さい!!」
刑事は、勢いよく立ち上がり、深々と頭を下げて私に懇願した。
「な、何!?」
「DNA鑑定にご協力お願いします!」
「ちょっと待て!?」
「お爺さんを犯人だと思っている訳ではなくて!これは、お話を伺った皆さんにご協力していただいてる事なんです!形式的な事なんです!お願いします!」
「断る!」
「お願いします!」

「断る!」
「お願いします!!」
「しつこいぞ!分かるだろ!」
「分かります!でも、お願いします!」
「無理だ!大体、DNA鑑定なら、髪の毛ではなくても出来るのだろ?」
「僕は、髪の毛をもらう主義なんです!お願いします!」
「何だ主義って!!帰れ!!」

第六百四十六話
「ラスワン」

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2018年10月24日 (水)

「第六百四十五話」

「お爺さん?何してるんですか?」
「警察、ワシが何をしたか分かっているから、ここへ連れて来たんだろ?」
「万引きですよ。お爺さん。」
「ああ、そうだ。ワシは、万引きをした。」
「何をしたか分かってるお爺さんに、もう一度お聞きします。だからお爺さん?何をしてるんですか?」
「おい、ここは歪な世界か?ワシは、チョコレートアイスを万引きしたと言っている。」
「ええ、ですから、そっちの何をしてるんですか?ではなくて、お爺さん?なぜこんな札束がポケットに入っているのに、チョコレートアイスを万引きしたんですかと聞いています。」
「警察?一体この札束が何か分かるか?」
「え?お金、ですよね?」
「違うな。この札束は、人間をダメ人間にする悪魔の契約書だ!」
「まあ、人それぞれにお金への価値観はあるかもしれませんけどね。お金を持ってるなら、チョコレートアイスを万引きしたらダメですよって事ですよ。」
「つまり、警察は、この人間をダメ人間にする悪魔の契約書を使ってチョコレートアイスを買えと言うのか?」
「それがこの世界のルールですからね。万引きは犯罪なんですから、お爺さんがお金を使ってチョコレートアイスを買いたくないけど、チョコレートアイスは欲しいから万引きしちゃおうって歪な思考を持っているなら、それこそお店に入っちゃダメでしょ!それこそチョコレートアイスを欲しちゃダメでしょ!それはなぜか?それは、この世界のルールに違反する行為だからです。」
「はっ!まるでこの世界でルール違反を犯した者を捕まえる存在みたいな事を言うな!」
「そう言う存在でしょ!警察は!」
「なら、脇腹をくすぐられたら笑わないって事だな?」
「何で、この世界でルール違反を犯した者を捕まえる存在は、脇腹をくすぐられても笑わない存在なんですか!笑いますよ!メチャクチャ笑いますよ!笑いますけど僕は警察ですよ!」
「ニセ警察か。」
「ニセ警察ではない!」
「警察なら、右目をもぎ取られても大丈夫って事だな?」
「大丈夫な訳がないでしょ!もぎ取ろうとしないで下さい!お爺さん?人の右目を意味もなくもぎ取るのは犯罪ですよ?」
「意味はある!ワシは、アンタがニセ警察かニセ警察ではないかを確かめなければならないからな!」
「一番最初に手帳をお見せしたはずですけど?」
「あいにくワシは、手帳を見せられただけで、その人間が右目をもぎ取られても大丈夫か大丈夫じゃないか判別出来る程の能力の持ち主ではないのでな!」
「何なんですか!だから、右目をもぎ取るとかそう言う話じゃないでしょ!今は、お爺さんが万引きした話でしょ!もう絶対に万引きしません!そう約束してくれれば済む時間じゃないですか!何でこんな歪な時間を過ごさなきゃならないんですか!」
「反省したら、帰してくれるのか?」
「初めてだったみたいですからね。反省したら帰しますよ。もちろん、チョコレートアイスの代金はお店に支払っていただきますけどね。」
「それは、ワシに悪魔の契約書を使えと言っているのか?」
「ええ、そうです。」
「ダメ人間になれと言っているのか?」
「そうは言ってません!ただ、この世界に生きてる以上、この世界のルールに従って生きてもらわないとダメだって話です!だけどそれが、お爺さんをダメ人間にしてしまうんだとしたら、この世界ではお爺さんには、ダメ人間になってもらうしかありません!」
「分かった。キミの熱意に負けた。ワシはこれから先の短い人生をダメ人間として生きて行く事にしよう!」
「ありがとうございます。」
「だが、一つだけこちらからも条件がある!」
「条件?」
「ワシは、お金を使ってダメ人間として生きて行く!だから右目をもぎ取らせてくれ!」
「いやまず対等な立場じゃないのに、お爺さん側から条件とか歪でしょ!で、その内容がもう歪中の歪でしょ!だから右目をもぎ取ろうとするな!」
「なら、左目で!」
「右目に拘ってたあの時代は一体何だったんだ!もうお爺さん一人に構ってる暇はないんですよ。いいからお店にチョコレートアイスの代金を支払いに戻りますよ。」
「では、店長に伝えておきなさい。新品のチョコレートアイスを用意して待っているように、と。」
「もう一つ買うんですか?」
「いや、溶けたからだ。」
「店長にぶん殴られますよ?」
「その時には、ニセ警察のアンタがエロ店長を逮捕すればいいだろ?」
「何で勝手に店長をエロにするんですか!とにかく、ここにいても永遠に歪な世界から抜け出せないので、お店に行きますよ!」
「分かった分かった。よし、だったらお店に着くまでにどっちが大きな鼻糞をほじり取る事が出来るか勝負しようぜ!」
「やりません。」
「右鼻の穴限定で構わんぞ?」
「左が苦手とか言ってませんから。ほら、黙って歩きなさい。」
「はいはい。」

第六百四十五話
「この素晴らしき歪な世界にて」

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2018年10月17日 (水)

「第六百四十四話」

 大草原、連峰、素晴らしい風景だ。もしも僕が画家だったなら、この風景画を描いていただろう。そんな気持ちで、この自然の神秘に包み込まれて歩いていると、絵を描いてる一人の男を発見した。
「すみません。もし宜しければ、絵を見せてもらえますか?」
「構いませんよ。」
「ありがとうございます。やはり、この風景を前にしたら、描きたくなりますよね。僕もね。絵心があれば、きっとこの風景を描いていたとお・・・えっ!?メ、メロン!?」
「分かりますか?」
「分かりますよ!?おもいっきりメロン畑ですもん!」
「がっはっはっはっはっ!」
がっはっはっはっはっ?なぜだ?どうして大笑いだ?どうして山男笑いなんだ?いや、いやいやいや、なぜこの絶景を前にして、メロン!?メロン畑!?
「あのう?ちょっとお聞きしても宜しいですか?」
「何でしょう?」
「なぜ、メロン畑を?」
「はい?」
「なぜ、メロン畑を描いているんですか?」
「物凄くメロンが食べたいからです。」
「えっ!?」
「ありません?何かこう、物凄く何かが食べたくなる事って?」
「ありますよ。」
「がっはっはっはっはっ!」
がっはっはっはっはっ?なぜだ?どうして大笑いだ?どうして山男笑いなんだ?どうして握手なんだ?どうして山男握手なんだ?なぜ、メロンを描いている!?いくら物凄く食べたくなっても、ここでメロンは描かないだろ?これは、ヤバいのかもしれない。僕は、この自然の神秘に包み込まれて、正常な判断を見失っていたのかもしれない。だから、話し掛けちゃいけない人に話し掛けてしまったのかもしれない。ヤバい!ヤバいぞ!これは、この場を一分でも一秒でも早く立ち去らなくては!
「あははははは。では、僕はこれで失礼します。」
「ちょっと待ちなさい!」
「ビクッ!」
「青年よ!なぜ、足早に立ち去ろうとする?」
「えっ!?そ、そんな事はないですよ。」
「この風景を目の前にして、メロンを描いてる老人が奇妙奇天烈だからじゃないのか?」
「なっ!?そそそそんな事はありませんよ!」
「私は、青年が考えてるほど、ヤバい人間ではない!」
「分かってますよ。」
「私は最初、絶景を描く為にここへやって来た。そして、メロンが物凄く食べたくなった。だから、メロンを描いている!とてもとても甘くてみずみずしい美味しいメロンをだ!がっはっはっはっはっ!」
がっはっはっはっはっ?なぜだ?どうして大笑いだ?どうして山男笑いなんだ?物凄く十分にヤバい人ですけど?
「そ、そうですか。」
「そして、絵が完成したら、食べる!」
食べる!?今この人、食べるって言ったのか?食べるって言ったよな?食べるって言った!絵が完成したら食べるって絶対言ったぞ!
「ど、どう言う事ですか?メロンを持って来てるって事ですか?」
「がっはっはっはっはっ!」
がっはっはっはっはっ?なぜだ?どうして大笑いだ?どうして山男笑いなんだ?とことん山男なのか?
「は、はい?」
「青年は、面白い事を言うな。」
「別に面白い事なんて言ってませんよ?」
「メロンを私が持って来ているなら、既に私はメロンを食べているはずだろ?わざわざメロンの絵など描いてはいない。」
「ちょっといいですか?そんな訳ないかもしれないですけど、少しこれから僕は、奇妙な事を言います。」
「構わんよ。」
僕は一体、どんな宣言をしてんだ?だけど、そんな宣言でもしないと、これから話す話をとてもじゃないけど、この宣言なしでする勇気は僕にはない。
「描いたメロンが現実のメロンになって、キャンパスから飛び出て来るって事ですか?貴方は、描いた絵を具現化出来るって事ですか?」
「がっはっはっはっはっ!」
「あははははは!」
「がっはっはっはっはっ!」
「あははははは!」
そうだよな。有り得ないよな。僕は何て事を言ってしまったんだ。これじゃあ、僕の方が奇妙奇天烈じゃないか。
「がっはっはっはっはっ!」
「あははははは!」
「がっはっはっはっはっ!」
「あははははは!」
いや、何でいつまでも、がっはっはっはっはっ、あははははは、を続ける?どうして山男笑いをやめない?
「いや、青年はとことん面白い事を言うな!がっはっはっはっはっ!」
「あははははは!」
やっぱり、やっぱり僕は奇妙奇天烈な人間だと思われているじゃないか!早く、早くこの場を立ち去ろう!ここにいても僕には何一つ得はない!この出来事は記憶から抹消しよう!そうしよう!
「がっはっはっはっはっ!」
「あははははは!では、そろそろ僕は失礼しますね。」
「がっはっはっはっはっ!」
「あははははは!また、どこかでお会いしましょう。」
二度と!絶対に!徹底的に会いたくない!
「がっはっはっはっはっ!行くってどこへ?」
「家に帰るんです。」
「家か。そうか、なら、家を描かないとだな。」
「はい?」
「絵を具現化出来るなんて言い出すとは、思ってもみなかった。だが、着眼点は間違ってはいない。」
「何を言ってるんですか?」
「私には、絵を具現化なんて芸当は到底出来やしない。」
誰にも出来ないぞ?そんな芸当は!
「だが、描いた絵の中に入る事は出来る。」
「はい?」
「絵の中から出て、メロンを買いに行くよりも、絵の中でメロン畑を描いて、メロンを食べた方が早いと思ったんだ。青年も一緒に食べに行くか?」
「・・・・・・。」
「がっはっはっはっはっ!」
冗談だろ!?まさかここは!?絵の中の絵!?そして、僕も絵!?

第六百四十四話
「殺風景なアトリエ」

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2018年10月10日 (水)

「第六百四十三話」

 朝起きて、洗面所へ向かい、顔を洗って、しばらく部屋をウロウロしながら歯を磨いて再び洗面所へ戻って来た時、ふと気付いた。洗面所の鏡が物凄く汚れている事に。
「・・・・・・・・・。」
それは、とてもだった。俺の姿を映していない。鏡としての機能を果たしていないぐらいにだ。俺は、口を濯ぎ、歯ブラシを定位置に戻すと、近場にあったハンドタオルを濡らして、鏡の汚れを拭き取る事にした。
「・・・・・・誰?」
ピカピカになった鏡に映るのは、俺が知る俺ではなく、俺の知らない俺だった。

第六百四十三話
「死後数十年してから評論家が、いいように解釈してくれる作品」

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2018年10月 3日 (水)

「第六百四十二話」

 この喫茶店は、普通の喫茶店のはずだった。どこにでもある駅近くの地下にある喫茶店。僕は、二人で向かい合って座る小さな方のテーブルでパンケーキを食べていた。向かいの四人で座る大きな方のテーブルに一人で男は座っていた。
「・・・・・・・・・。」
その男は、静かに水を飲んでいた。その横の大きな方のテーブルでは、カップルの男の方が向かいに座るカップルの女の方の首を絞めて殺そうとしていた。
「・・・・・・・・・。」
男は、静かに水を飲んでいた。男は、姿勢を正して真っ直ぐ前を見て、ただただ静かに水を飲んでいた。僕はそれをパンケーキを食べながら見ていた。
「・・・・・・・・・。」
カップルの横の大きな方のテーブルでは、ずーっと家族が大笑いしていた。ずーっとだ。きっとこのまま笑い続けてたら笑い死ぬぐらいに、ずーっと。でも男は、静かに水を飲んでいた。
「・・・・・・・・・。」
女の店員は、ずーっと水を飲み続けていた。男の店員は、自分の顔をフライパンで焼いていた。トイレの前では、お爺さんとお婆さんが殴り合っていた。男は、静かに水を飲んでいた。
「・・・・・・・・・。」
やがて喫茶店の天井の一部が崩落して、おばさん達が押し潰され、地下鉄が壁を突き破って、ヘリコプターが墜落して来た。男は、真っ直ぐ前を見て静かに水を飲んでいた。
「・・・・・・・・・。」
いや、違う。男は、静かに水を飲んでいない。いやいや、男は、静かに水を飲んでいる。そうじゃない。僕が言いたいのはそう言う目に見える光景じゃない。伝えたい事は、そんな表面的な現実じゃない。そう、このありえない世界観の中で、何にも動じる事なく男が静かに水を飲んでいるんじゃなくて、男が静かに水を飲んでいるから、このありえない世界観が生まれているんだ。
「・・・・・・・・・。」
僕は、ナイフで首を切り裂きながら、静かに水を飲む男を見て、そう考えた。

第六百四十二話
「男は静かに水を飲む」

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2018年9月26日 (水)

「第六百四十一話」

「どこまで行くの?」
「どこまでもさ。」
「いや、いやいやいや、どこまでもって、車にも限界があるでしょ。何?じゃあ、この車は宇宙の果てまで行けるの?」
「そうだ。」
「んなバカな!そんな訳ないじゃない!何で?どうしてそんな嘘を吐くの?」
「嘘?」
「そうよ!何でそんなどうしようもない嘘を吐く訳?」
「ちょっと待った!」
「んんんん!?って、何でおもいっり口押さえた!?そんな前代未聞の止め方ある!?もう少しで殺人事件よ!?」
「なぜ、俺が嘘を吐いてるって思うんだ?」
「なぜって、宇宙の果てまでこの車で行ける訳がないからよ!」
「だからそこだよ!」
「そこ?」
「なぜ、この車で宇宙の果てまで行けないって決め付けてんだ?」
「決め付けとかじゃなくて、事実じゃん!」
「事実じゃない!」
「え?じゃあさ!じゃあさ!本当にこの車で宇宙の果てまで行けんの?」
「行けなかったら始めから行けるなんて言わないだろ。」
「・・・・・・。」
「・・・・・・。」
「・・・・・・。」
「・・・・・・何だよ。」
「何で無言だからって目潰ししようとする?いや、凄い嘘を吐く人だなって思ってさ。いや、凄い吐いた嘘を子供のように何の証拠もなく事実にしようとしてるなって思ってさ。」
「だから!俺が嘘を吐いてるって証拠はどこにもないだろ?」
「え?いいの?」
「何がだよ。」
「言っちゃっていいの?」
「何をだよ。」
「あの禁断の一言を言っちゃっていいの?」
「禁断の一言?」
「イエス!」
「ああ!言えるもんなら言ってみろよ!禁断の一言!」
「じゃあ、言うわね。」
「どーぞ。」
「なら、今から宇宙の果てまで行ってみてよ!」
「いいぜ!」
「いいの!?」
「いいよ!」
「え!?いいの!?」
「いいって言ってんだろ!」
「え!?大丈夫なの!?ここまで嘘を貫き通して大丈夫なの!?」
「あのさぁ?」
「何その呆れ顔?」
「お前は、もっと人生を楽しい方向で考えられないのか?」
「と、言いますと?」
「宇宙の果てまで行けるって言ってんだぞ?じゃあ、宇宙の果てまで行ったら、一体何をしようかなぁ?どんな未知との遭遇が待ち構えてんのかなぁ?って、ウキウキワクワクドキドキワクワクワクワクワクワクしないのか?そんな人生楽しいか?」
「ワクワクし過ぎでしょ!これは!海外旅行に行くとかそういった類いの話じゃないのよ!宇宙よ!しかも果てよ!」
「海外旅行よりもアドベンチャーだろ?」
「まあ、海外旅行をアドベンチャーと捉えた事はないけど、宇宙の果てなんてにわかに信じがたいレベルのにわかに信じがたいじゃないわよ!」
「なら!百聞は一見にしかず、だな!」
「え!?マジで?いやもういいよ。嘘吐いてましたって謝ってくれれば、それで許すよ。もう、この話題は水に流して墓場まで持って行くよ。」
「さあ、この宇宙の果てまでボタンを押すぞ!」
「何!?宇宙の果てまでボタンとかって!?エアコンの温度上げるボタンでしょ!?」
「さあ!宇宙の果てへ出発だ!!」
「押すの!?押しちゃうの!?押したらそこで終わっちゃうよ!?」
「どっせい!」
「ああ、押しちゃったよ。」
「どうだ?宇宙の果ては?」
「いや、相変わらずの山道だけど?」
「凄いな!宇宙の果て!」
「凄いのは、アナタのその吐いた嘘を貫き通す精神力よ!え?何?それとも見えてる景色がお互いに違うの?宇宙の果てって、人それぞれで見え方が違うシステムの構造を構築してる世界なの?」
「いや、俺にも相変わらずの山道だ!」
「それで涙流す程の感動って!怖いわよ!」
「分からないか?」
「分からないわよ!分からないから怖いんじゃない!」
「つまりだ!宇宙の果てには、さっき俺達がいた世界と全く同じ世界が存在したって事だ!」
「そこまでポジティブだったら、人生楽しくって仕方ないでしょ。」
「これは大発見中の大発見だ!すぐに地球に戻って、お前を殺して山に埋めて論文だ!論文!」
「ん?んんん?何か今、サラッと事件をほのめかさなかった?」
「さあ!この地球に戻るボタンを押して、地球に戻るぞ!」
「押させるかよ!地球に戻るボタン!否っ!エアコンの温度下げるボタン!」

第六百四十一話
「なんだかんだで今は二人で幸せな老後を暮しております」

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2018年9月19日 (水)

「第六百四十話」

「格好つけるな!」
「格好つけてない!」
「格好つけてるだろ!」
「格好つけてない!」
「じゃあ、何か?それが自然体だって言うのか?」
「そう!これは自然体の俺!」
「自然体の俺!って言いながらポージングを決めてんのに、それを格好つけてないと言うのか!」
「そう!これは自然体の俺!」
「ふざけんな!そんな自然体があってたまるか!」
「あるんだから仕方ないだろ!」
「お前はあれか?会話の最後にポージングを決めないと死んじゃう病か?」
「俺は!会話の最後に!ポージングを決めなくても!死なない病だ!」
「どんな病だ!なら全人類その病だ!とにかく今だけは、格好つけないでくれるか?」
「だから!俺は!格好つけない!俺は!格好つけてない!」
「何でクルクル回ってポージングなんだよ!いないだろ?そんなヤツ!見た事あるか?そんなヤツ!見た事あるとすればフィクションの世界でだ!そんなヤツ!」
「一度やってみればいい!」
「はあ?」
「この快感を味わってみればいい!」
「快感?何か?お前は、快感を得る為にポージングをしてんのか?」
「そうだ!」
「でもそれは、ポージングを決めると格好いいと思ってるからだろ?」
「違う!!」
「青天の霹靂ぐらい怒るな。」
「そんな上辺だけのもんじゃなく!もっともっと!もっともっと!もっともっと!奥深いもんだ!」
「そうなのか?やってる方は快楽かもしれないけど、やられてる方は不快楽極まりないけどな。」
「四の五の言わずに!とにかくやってみればいいじゃないか!」
「やらない!」
「なぜさ!」
「俺は、自分が快楽になる為に他人を不快楽にしたくない!」
「同意見だ!」
「握手をすんな!ポージングを決めて両手で握手をしてくんな!イライラする!」
「カルシウム不足じゃないか?」
「ポージングを決めてまともな事を言うな!イライラの原因は十中八九お前だ!」
「やれやれ。」
「何だよ。」
「どうやら刑事さんとは地球が五回大爆発しても分かり合えないんだなと思ってさ。」
「下着泥棒が偉そうに取調室でポージングを決めて地球大爆発五回もさせてんじゃねぇよ!」
「刑事さん!」
「何だよ。指を差すんじゃないよ。」
「俺は!下着を泥棒なんかしてない!」
「してんだろ!お前の家からは体育館いっぱいになるぐらいの下着が出てきたし!何よりも現行犯逮捕だろうが!」
「刑事さん!俺が下着を泥棒したんじゃない!下着が俺を泥棒したんだ!逮捕すべきは!体育館いっぱいの下着達だ!」
「はあ?お前さぁ?自分で言ってて何とも言えない違和感を感じないのか?しかもだぞ?それで俺が納得するとでも思ってんのか?」
「刑事さん!」
「何だよ。指やめろ!」
「俺が下着を泥棒したんじゃない!下着が俺を泥棒したんだ!」
「いやだから!どう言う状況?それって、どう言う状況ですか?」
「それについて語るには、少し長くなるから刑事さん!ここは一度休憩と言う事で、とりあえず一緒にクラムチャウダー!」
「何でお前とクラムチャウダー?そもそもお前と一緒に飯なんか食いたくねぇよ!イライラする!」
「とりあえず一緒にご機嫌にクラムチャウダー!」
「不機嫌だわ!ゲボ出るわ!」
「二度味わうとは!なかなかやるな!刑事さん!」
「牛か!俺は!」
「とりあえず一緒にご機嫌にタップダンスでクラムチャウダー!」
「食えるか!大火傷だわ!あのな?気持ちは分かるが、無駄に長く伸ばしても同じだぞ?悪足掻きしないで素直に下着泥棒を認めたらどうだ?」
「刑事さん!」
「何だよ。」
「認めたら死刑じゃない?」
「認めても一緒!」

第六百四十話
「死刑一択刑罰平等制度」

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2018年9月12日 (水)

「第六百三十九話」

「お父さん!娘さんを僕に下さい!」
「だ、誰だキミは!?」
「僕は!お父さんから娘さんを貰いに来た者です!」
「な、何だと!?つつつつつまりは、あれか!娘の彼氏って事か!?だが、普通はあれじゃないのか?こう言うの初めてだから、テレビや小説からの情報になってしまうが、この場に娘も同席するもんなんじゃないのか?」
「そうなんですか!?」
「確実に、絶対にそうかどうかは分からんよ。でも、娘の彼氏が一人でやって来て、娘さんを僕に下さい!ってのは、初めて見たよ!」
「僕もそれは考えたんですよ。」
「なら、娘と話し合ってもう一度来るのが筋なんじゃないか?こっちも急に縁側で足の爪を切ってる最中に庭から現れてビックリして深爪しないで済むしな。」
「なるほど!でも、お父さん!それには少し無理難題の高い壁がそびえ立ちます!」
「少しなんじゃないのか?で?その無理難題の高い壁ってのは、何だ?」
「それは僕が娘さんの彼氏じゃないからです!」
「ん?すまん、もう一度頼む。」
「それは僕が娘さんの彼氏じゃないからです!」
「すまん、もう一度。」
「それは僕が娘さんの彼氏じゃないからです!」
「・・・・・・ちょっとこれまでの一連の流れを整理してみようか。」
「してみましょう!お父さん!」
「ちょっと横に座ってくれるか?」
「座りましょう!お父さん!」
「え?娘さんの彼氏じゃない。」
「はい!お父さん!」
「庭から現れて、娘さんを僕に下さい!って言った。言ったよな?」
「言いました!お父さん!」
「強盗じゃん!」
「強盗って!?お父さん!今まさに塀の向こう側を警察官が通ったら来ちゃうじゃないですか!最悪、僕は身柄を拘束されちゃうじゃないですか!」
「それがハッピーエンドだろ。」
「どこがハッピーエンドなんですか!僕とお父さんのハッピーエンドは、結婚式じゃないですか!それを、それだけは絶対に忘れないで下さい!」
「娘の彼氏じゃないんだろ?」
「娘さんの彼氏じゃありません!お父さん!」
「強盗じゃん!」
「それやめましょう!お父さん!本当に警察官が来ちゃますから!何でこんな善良な市民の僕が強盗なんですか!」
「だってそうだろ?そうなるだろ?」
「なりませんよ!お父さん!」
「ちょっと話を進める前に、そのお父さん!って言うのやめようか。」
「何でですか!お父さん!」
「キミが娘の彼氏ならまだしも!そうじゃないからだ!強盗だからだ!」
「お父さん!本当に強盗はやめて下さい!」
「なら!お父さんをやめろ!でないと私は、強盗と言い続けるぞ!」
「分かりました。お父さん。」
「強盗!」
「分かりました!やめます!だから、強盗もやめて下さい。」
「でもな?彼氏でもないのに娘を貰いに来るって、強盗だろ?」
「別に僕は、娘さんを盗みに来た訳じゃありません!貰いに来たんです!」
「骨董品じゃないんだからさ!じゃあ、娘を上げようなんてなる訳がないだろ?」
「いくらですか?」
「キミは!キミってヤツは!世の中の娘さんを僕に下さい!を何だと思ってるんだ!」
「でも今、お金を要求されましたよね?」
「してねーよ!違うだろ!全然話が違うだろ!彼氏じゃないんだよな?」
「はい。」
「今、娘に彼氏がいるかいないか私は知らない!だがな?キミにここで娘を上げちゃって、今夜娘が明日彼氏を連れて来るなんて言われたらどうすればいいんだ?いやいや、今日の昼間にお前を上げちゃったよって言えばいいのか?」
「はい。」
「はい、じゃねーよ!深く頷いて、はい、じゃねーよ!あのさ?全くだよ!全く意味が分からないんだよ!何なんだよこの状況は!何で縁側でのんびりと足の爪を切ってたら、いつの間にやらこんな不条理な展開に巻き込まれてんだよ!」
「落ち着いて下さい。頭の血管がぶっ壊れてぶっ倒れちゃいますよ?」
「もしかしたら、その方が幸せなのかもしれない。」
「違います!僕と貴方の幸せは、結婚式です!どうかそれだけはお忘れなきように。」
「キミはあれか?凄く真面目なヤツなのか?もしかして、娘と付き合う前に父親の許しを貰いに来た大真面目なヤツなのか?」
「違います!」
「違った!?なら、ただの大迷惑野郎か!」
「違います!僕は、物凄く結婚願望の強い男です!」

第六百三十九話
「操り人形で、娘さんを下さい大作戦」

「で?」
「で!めでたくアタシ達は、ゴールイン!」
「本当に?本当にこんなので結婚の許しが貰える?」
「大丈夫だって!アタシのパパって、物凄い変わり者だからさ。これぐらいやんないとダメなんだって!」
「今の話の中じゃ、随分とまともな人だったけど?」
「一見そう見える人がそうじゃないんだって!殺人犯とかそうでしょ?」
「いや、あれはよく知らない隣人のインタビューとかだろ?」
「まあ、まあまあ、いいじゃんいいじゃん!細かい事は気にしない気にしない!アタシ達の目的は結婚式なんだからさ!」
「一つ今ので気になったんだけどさ。」
「なあに?」
「何で僕、彼氏じゃない設定?」
「え?」
「え?」

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