2017年8月16日 (水)

「第五百八十三話」

「ねぇ?アナタ、永遠の愛って、どう思う?」
「テーマが重い!夕食でカレー食ってる時にするような話題じゃないだろ!」
「夕食でカレー食べてる時にするような話題じゃないって、逆に夕食でカレー食べてる時にするような話って言うのがあるの?」
「あるだろ!ジャガイモの話とかニンジンの話とか!」
「具?具の話?じゃあ何?永遠の愛とかって話は、しちゃいけないって言うの?」
「したらいけないとは言ってないだろ?ただ、いきなりはテーマが重いって言ってるだけだ。」
「ジャガイモの話とかニンジンの話とかって言われてもジャガイモもニンジンも入ってないから出来ないわ。」
「ジャガイモとニンジン入ってない入ってないと思ってたら、俺に意地悪してるんじゃなくて、根本的に入ってないのか!?」
「そうよ。」
「何でジャガイモとニンジン入れてないんだよ!味がおかしくなるだろ!ジャガイモとニンジンは、レギュラーメンバーだろ!カレーの具の定義をいくら崩したとしてもカレーがカレーを保ててるのは、ジャガイモとニンジン入れてるからだろ!」
「味、味って言うけど、アタシがジャガイモとニンジン入ってないって言うまで、アナタ気付かなかったじゃない。」
「気付いてたよ。」
「嘘よ!」
「気付いてたって言ってんだから気付いてた!」
「子供ね。」
「お前さぁ?なあなあなあ?ジャガイモとニンジンのレギュラーメンバー無しで、何でこう言うピーマンみたいなトリッキーな具を使うんだよ!カレーは、冷蔵庫の余り物を処分する為の便利レシピじゃないんだぞ!」
「ピーマンがトリッキー?ピーマンがトリッキーだったら、こうしてスプーンでカレーをすくってイチゴが乗ってたらどうなるの?」
「それはもう、カレーの向こう側だよ。」
「カレーの向こう側?」
「もはやそれは、カレーであってカレーでない。カレーの向こう側だ。」
「いや、カレーであってカレーでないって、カレーじゃん!」
「カレーにイチゴ入れたいなら!カレー食った後にイチゴ食べればいいだろ!って話だよ!シンプルがベストって言葉があるだろ?カレーはまさにそれだよ!カレーこそが、シンプルがベストなんだよ!カレーの為に作られた言葉って言っても過言ではないんだよ!」
「いや違うでしょ。だから、海鮮のカレーも好きじゃないんだ。」
「そうだよ!」
「美味しいじゃん!」
「美味しいかもしれないが、あれはあれで邪道だ!」
「海鮮のカレーが邪道って、厳し過ぎない?」
「カレーは、厳し過ぎるぐらいが丁度いいんだ!」
「はあ?」
「いいか?具を変えるとしたら、肉だ!それ以外のバランスを崩しちゃいけないのがカレーだ!国と一緒だ。」
「違うでしょ!国とは!」
「いいや、一緒だ。国のトップを変えてもいいが、国民の資質を変えたらその国は崩壊する。カレーと一緒だ。」
「何か、これこそカレー食べながらする話なの?」
「カレーの話をカレー食べながらしないでいつするんだ?旅行の高速で渋滞に巻き込まれてる時にするのか?いいか?そんな時にカレーの話をしてみろ?その旅行の昼食は絶対にカレーだ!」
「いいじゃん!カレーで!」
「よくないだろ!旅行ってのは、その土地その土地で、名物を食うもんだろ!それを差し置いてカレーはないだろ!カレーは!何で俺、ここまで来てカレー食ってんだ?ってなるだろ!自己嫌悪で自殺するかもしれないだろ!」
「考え過ぎよ!そんな事で自殺なんかしないでしょ!」
「確率はゼロじゃない。」
「真顔でカレーを一口スプーンですくって口に運んで何言ってんの?」
「いいや、ジャガイモとニンジンが入ってない以上、これはカレーであってカレーでない。単なる茶色いヤツだ。」
「ヤツって何よ!ヤツって!」
「で、永遠の愛は、ある!」
「突然何!?」

第五百八十三話
「カレー、愛」

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2017年8月 9日 (水)

「第五百八十二話」

「先生!!」
「おう!ウンコの親分!」
「女子にどんなアダ名付けてんですか!」
「いやほら、足が速いだけが取り柄の美人ってだけだと、インパクトが無くて何かと苦労が絶えないだろ?だから、インパクト特大のアダ名を付けて上げたんだ!」
「いらん!」
「お前さぁ?仕事しろよ。」
「はあ!?何ですか急に!?してますけど!」
「お前さぁ?出版社にお勤めだろ?物書きの家にいきなり来て、先生!!って叫んでお給金貰えるなんて、世間に顔向け出来ないだろ。両親、大号泣確定だぞ?ちゃんと働きなさい?」
「だから働いてるわい!!誰が、物書きの家に先生って叫びにだけ来て給料貰ってんだ!アタシは、ちゃんと仕事しに来てんだ!そして、会社でもそれ以外の仕事してんだ!」
「じゃあ、して下さい?」
「これからしますよ!」
「どーぞ。」
「先生から、貰った原稿を読んでて気になった箇所があったんですよ!」
「いや何でそんな怒りモード?」
「これ!これです!これ!」
「近いなぁ。ん?これ、お前さんがサスペンス的なミステリー的な犯人が最後の最後まで分からない話なんか書いたらどうですかって言うから書いた原稿だろ?どうだ?最後の最後まで犯人が分からなかっただろ?」
「いや分かるか!」
「ぶわっはっはっはっはっ!!」
「いやいやいや、悪魔みたいに豪傑に笑ってますけど、笑ってられんのも今のうちですよ?先生!」
「何が言いたい!!」
「何で急に怒りモード?」
「だいたい、お前が先生って言ってやって来る時は、理不尽な悪い知らせばかりだからだ!」
「理不尽じゃありません!」
「だったら言ってみろ!」
「これ、この作品、ずーっと、主人公のお兄さんが犯人ってフラグ立ててますよね!でもどうでしょ?最後の最後で、犯人は主人公の父親!」
「どうだ?最後の最後まで犯人が分からなかっただろ?」
「最後の最後まで犯人を分からない事にだけ!そこにだけ焦点当ててるから、辻褄がメチャクチャじゃないですか!」
「はあ!?」
「よくこのタイミングで白眼が出来ますね!物語がメチャクチャだって言ってるんです!」
「いや、物語はメチャクチャかもしれないが、最後の最後まで犯人は分からなかっただろ?」
「白眼やめてもらえません?いやだから、物語がメチャクチャだったら、ダメじゃん!って話ですよ!意味無いじゃん!って話ですよ。」
「お前さぁ?ちょっと辻褄が合ってないだけで、そんなに激昂すんなよな。」
「ちょっとじゃない!これで犯人が父親って有り得ないぐらい合ってないんです!最後の最後で別次元の物語ですよ!白眼もうよくないですか?」
「じゃあ、実はお兄さんが父親で、父親がお兄さんって事でいいじゃん。」
「どう言う事ですか!いいじゃんて何ですか!いいじゃんて!」
「ツバが凄い!?」
「メチャクチャな上に、そんなムチャクチャしでかしたら、読者にぶっ飛ばされますよ!」
「俺は、読者にぶっ飛ばされたい!」
「先生の性癖を作品に反映させないで下さい!」
「誰が性癖って言った!そう言う覚悟で真剣に創作活動してるって意味だ!」
「自由過ぎる!」
「俺は、読者になりたい!」
「何でこのタイミングで断筆宣言!?」
「ここで一句。」
「なぜ?」
「今日は火曜、水曜だったら、字余りだ。」
「季語は?」
「火曜。」
「火曜は、オールシーズンだ!」
「世界は広い。火曜が無い地域だってあるだろ?俺はな。世界を視野に入れてんだよ。ワールドワイドだ!」
「俳句を持ち出した時点で世界規模ではない!あと、上手くやりくりすれば水曜でも字余りにならない!いやいやいや、そうじゃないそうじゃない!一句詠む暇があったら、先生!このメチャクチャな作品をどうにか修正して下さいよ!でなきゃ、新しく作品を書いて下さい!」
「話はそれだけか?」
「ええ、そうです!」
「ブッ!!」
「何で屁をこくんですか!どうして屁をこくんですか!」
「そこにケツの穴があるからさ。」
「世界でも最低レベルの格言ですね。くっさっ!?」
「そりゃあ、そうだろう。かなり前からトイレ行きたいんだからな。」
「最低!」
「話を聞いてやっただけでも有難く思いなさい。」
「はいはい。じゃあ、アタシ帰りますけど、作品の修正、頼みますよ。」
「ブッ!!」
「ちょっと!ぶっ飛ばしますよ!まあでも、先生がやる気出してくれて良かったです。」
「ブッブッー!!」
「よっしゃー!って!じゃあ、宜しくお願いしますね!」

第五百八十二話
「執筆宣言!!」

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2017年8月 2日 (水)

「第五百八十一話」

「これは!?」
「お目覚めかしら?」
「はあ!?何でこんな状況になってんだよ!?アンタ誰だ!?」
「アタシ?アタシは、謎の美女。」
「謎の美女!?と、とにかくこれはどう言う事だ!?」
「これって?」
「だから!俺の今の状況だよ!」
「今の状況って、もしかして?山奥の廃墟で椅子に縛り付けられてる状況の事かしら?」
「それ以外にないだろ!」
「あはははははは!」
「なぜ突然笑う!謎の美女!」
「いやだって、これが笑わずにいられる?」
「いられるだろ!謎の美女!」
「あはははははは!」
「お前!俺を殺すんだろ!」
「あはははははは!」
「笑うな!」
「そうよ!」
「なっ!?」
「だとしたらどうだって言うの?」
「どうだって言うのっていっぱい言いたい事はある!とりあえず銃をしまえ!」
「嫌よ!でも、聞きましょう。」
「まず、俺とお前は知り合いじゃないだろ!知り合いじゃないのにこの状況って、お前は快楽殺人鬼か?でなきゃ殺し屋か?」
「あはははははは!」
「だから笑うなって!謎の美女!」
「だってだってだって!これが笑わずにいられる?」
「だからいられるだろ!謎の美女!快楽殺人鬼でもなきゃ殺し屋でもないなら!お前は、何者だ!」
「本当に何も覚えてないのね。」
「何も覚えてない?」
「この状況を作り出したのは、アタシじゃない。アナタよ。」
「はあ!?」
「映画や小説の中みたいな殺され方をしたい。そう言ったのは、アナタなのよ?覚えてない?」
「覚えてる訳がないだろ!何なんだよ!その斬新な自殺!」
「自殺?まあ、でも結局はアタシがとどめを刺さなきゃならないから、他殺?」
「待て待て待て!ちょっと待て!」
「待てないわよ。」
「どうして!」
「あんな大金を貰ってるんだもの。最後までちゃんとやらなきゃ。」
「大金?やっぱり殺し屋か!依頼主は誰だ!」
「だから、依頼主は、アナタよ。」
「だから!俺が俺を殺せなんて依頼する訳がないだろ!」
「アナタは、自分の記憶を自分で消したの。」
「はあ!?」
「見て、殺すなって言っても殺せって契約書よ。」
「ふざけんな!」
「あはははははは!」
「笑うな!」
「だって、バーでアタシもアナタにこの話を持ち掛けられた時、同じような事を言ったから、ふざけないで、ってね。」
「何!?」
「ほら、記憶が戻らないうちに終わらせましょうよ。」
「こんな事、有り得ないだろ!」

「アナタ、ある意味、幸せ者ね。」
「どこがだ!」
「だって、夢が叶うんですもの。」
「いや、待て待て待て!記憶が戻った!やっぱり契約はなしだ!」
「あはははははは!」
「そう、そうだ。そうやって銃をゆっくりおろした後は、この縄をほどいてくれ。」
「あはははははは!記憶が戻った?」
「そうだ!何てバカな事を俺は考えたんだって後悔してる!ああ、金はもちろんやるよ!こんな事に付き合わせちゃったんだからな!」
「記憶が戻った。」
「いや本当に良かったよ!ギリギリのとこで記憶が戻ってさ!」
「それが合図よ。」
「えっ!?」
「パン!」

第五百八十一話
「一人称は、僕」

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2017年7月26日 (水)

「第五百八十話」

 私は、普通のサラリーマンだ。普通のサラリーマン生活を送る、普通のサラリーマンだ。だが、今日はやけになんだか、無性になんだかやけに、近道がしたくなった。普段は、絶対に有り得ない事だが、今日は絶対に近道がしたくなったから、だから近道して妻と子供が待つ家に帰る事にした。生い茂る草を掻き分けて行くと、そこはファンタジーだった。
「よう。」
「夢?」
「夢?誰の?俺の?」
「犬が喋ってる!?」
「哲学だろ?」
「哲学と言うかファンタジー?」
「どうしたんだ?道にでも迷ったのか?」
「いや、初めての近道だから、道に迷ってるのか迷ってないのかが、分からない。」
「哲学だな。お前、哲学者か?握手してくれよ。」
「いや、普通のサラリーマンだ。」
「おお!哲学者っぽい!」
「何がだ?」
「何もかもがだ!今日は素晴らしい夕方だ!どうだ?哲学だろ?」
「どちらかと言うと気象学っぽいな。ところで、何で喋れるんだ?」
「はあ?喋れるから喋ってる。ただそれだけだ。あっ!今の何だかんだで、哲学っぽいな。」
「いやもう、とりあえず何でもかんでも哲学って言ったもん勝ちみたいになってるだろ。」
「俺の耳、哲学っぽくないか?」
「普通だろ?」
「仲間には、哲学っぽいって凄く言われるぞ!」
「そのノリで無理矢理言わせてるんじゃないのか?」
「ピーンとしてて、哲学っぽいって凄く言われるぞ!」
「その哲学さがよく分からない。」
「哲学っぽくする為に疲れるけど頑張ってるんだ!」
「垂れ耳の犬種だったのか!」
「お前、さっきからいちいちリアクションが面白いヤツだな!」
「どちらかと言うと面白いのは、ファンタジーなお前の方だ。」
「猫の女王の城に連れて行きたくなってきたぞ!猫の女王をチラ見させたくなってきたぞ!」
「ガン見させてくれ。いや、これ以上のファンタジーは勘弁してくれ。ファンタジーでお腹一杯になりそうだ。」
「猫の女王はな。お前が考えてる以上に哲学だぞ?」
「その何でもかんでも哲学って言いたがるのもうそろそろやめないか?」
「猫の女王はな。お前が考えてる以上に人間を喰うぞ?」
「だったら、そんな世にも恐ろしい場所に連れて行こうとするな!何一つ哲学じゃないだろ!単なる生け贄だろ!」
「猫の女王はな。人間一人につき勲章を一つくれるんだぞ?」
「とにかく私は、家に帰りたいんだ!こんな恐怖のファンタジー世界からは一秒でも早く出て行きたいんだ!」
「でも、見てみろ!俺は、一つも勲章を貰ってない!」
「だから、私を猫の女王に差し出して勲章を貰いたいって魂胆なんだろ?」
「おいおいおい、人間。それは哲学とは言わない。早とちりって言うんだぞ?」
「まず、大前提として、私は哲学を口にした事がない!」
「哲学を口にした事がない!?おい人間!今のはなかなかの哲学だったぞ!」
「あのな!」
「俺は、猫の女王のやり方には、反対の立場だ!」
「ん?」
「人間を喰うなんて、反対だって事だ!全く哲学じゃない!ナンセンスだ!クソ喰らえだ!」
「はあ。そうなのか、としか言えないが?」
「そこで人間に頼みがある!」
「私にどうしろって言うんだ?」
「俺をお前の家に連れて帰って欲しい!」
「何!?」

第五百八十話
「近道をしたらファンタジーの世界で犬を拾った」

「ここがお前の家か。ほんのり哲学っぽいな。」
「こっちの世界でも喋るのか!」
「哲学だろ?」
「妻と子供の前では絶対に喋るなよ。」
「分かった。」
「絶対だからな!」
「ああ、分かった。」
「喋るなよ!」
「しつこいぞ。そうだ!お前の子供に猫の女王の話を聞かせてやろう!」
「おい!」

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2017年7月12日 (水)

「第五百七十八話」

 私は、間違えて喫茶店に入ってしまった。そして、間違えてアイスコーヒーを注文してしまった。
「お待たせしました。ごゆっくりどうぞ。」
「ありがとう。」
テーブルの上には、アイスコーヒー。なぜ、私は帰らなかった?間違えて喫茶店に入って、間違えてアイスコーヒーを注文してしまったのなら、その間違えを訂正して、帰ればよかったじゃないか。ごめんなさいと謝り、帰ればよかったじゃないか。何をミルクとシロップを入れてストローでかき混ぜて間違えて入った喫茶店の間違えて注文したアイスコーヒーを飲んでいるんだ私は!
「もしかして、貴方も?」
「はい?」
間違えて入った喫茶店の間違えて注文したアイスコーヒーを一口胃に流し込んだ時、隣のテーブル席の女性が不思議な話題を話し掛けて来た。
「もしかして貴方も間違えて喫茶店に入って、間違えてアイスコーヒーを注文してしまったんですか?」
「はい。」
「やっぱり!そうじゃないかなって思って一部始終をガン見してたとこなんですよ!」
「はあ。」
果てしなく、そして果てしなく意味が分からないぞ?貴方もと言う事は、彼女もまた私と同じ間違いをしていると言う事か。ん?だがどうだ?彼女のテーブルの上には、アイスコーヒーではなくオレンジジュースが置かれているぞ?これは矛盾だ!果てしなく、そして果てしなく矛盾だ!
「うふふ。」
「ははは。」
なぜ笑う?なぜそんなに愛らしく笑う?明日、世界が滅亡すると分かっていてもキミは、そんな笑顔が出来るのかい?
「分かりますよ。」
「え!?明日、世界が滅亡するのか!?」
「え!?そうなんですか!?」
「いやでも今、分かるって!」
「ああ、何でアタシのテーブルの上には、アイスコーヒーじゃなくて、オレンジジュースなんだろう?って、疑問に思ってるのが分かるって意味です。」
「ああ、そっちか。ビックリした。」
「ビックリしたのは、こっちですよ。急にアルマゲドン的な事を言い出すんだもん。」
「申し訳ない。」
なぜ、なぜ私は愛想笑いで見ず知らずの女性に謝らないといけないんだ?なぜ、こんな状況が生まれた?
「このオレンジジュースは、間違えて喫茶店に入って、間違えて注文したアイスコーヒーを飲み終えた後に、間違えてオレンジジュースを注文した結果です。」
何を言っているんだか果てしなく意味が分からないぞ?だからここは、素直に聞いてみようではないか。
「どう言う事ですか?」
「だから、間違えて喫茶店に入って、間違えてアイスコーヒーを注文して、更に間違えてオレンジジュースを注文しちゃうんですよ!」
なぜ笑う?なぜそんなに愛らしく笑う?明日、世界が滅亡すると分かっていてもキミは、そんな笑顔が出来るのかい?
「はあ。」
「分かりますよ。」
「やはり明日、世界が滅亡するのか!?」
「何でそうなるんですか。そうじゃなくて、この女、何を果てしなく訳が分からない事を言ってんだって思ってるのが分かるって事です。」
「申し訳ないが、その通りだ。」
「つまり、貴方もまた、これから間違えてオレンジジュースを注文しちゃうって事ですよ!」
「まさか!?」
「そのまさかなんです。」
なぜ笑う?なぜそんなに愛らしく笑う?明日、世界が滅亡すると分かっていてもキミは、そんな笑顔が出来るのかい?いや、これで三度目だから同じ間違いはしないが、どうなっているんだ?彼女は、私より少し前のおっちょこちょいを歩んでいると言う事か?
「はあ。」
「分かりますよ。」
「そんなに明日、世界を滅亡させたいのか!」
「ちょっと、落ち着いて下さい。いいですか?アタシは、少し前の自分を見てるみたいだったから、貴方に話し掛けたんです。」
「え?」
「おっちょこちょい、なんですよね?」
「まあ、自慢じゃないが、そうだ。」
「アタシもです。キャベツとレタスは絶対に間違えちゃうし、電車もエレベーターも絶対に乗り間違えちゃうし、階段、間違えちゃいますよ。」
「なるほど、キミも本当は上の美容室に行こうとした訳か。」
「そうなんですよ!」
そう言えば、どこか風の噂程度にうっすら何となく果てしなく透明なこんな話を耳にしたようなしないような?そう、おっちょこちょいは、おっちょこちょいを引き寄せる、と。まあ、果てしなく噂だが、とにかくなんだ。落ち着いたら、ノドが渇いた。ん?間違えて入った喫茶店の間違えて注文したアイスコーヒーもなくなってしまったな。
「すいません!オレンジジュース下さい!あっ!」
「ほら!」
「ははは。」
「うふふ。」

第五百七十八話
「血だらけの二人」

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2017年7月 5日 (水)

「第五百七十七話」

 刑事は、病室のベットの上のミイラ男状態の男に困惑していた。
「刑事さん。」
「ん?」
「とにかく記憶がないんですよ。」
「うん。」
「自分が誰なのか?どうしてあの場所に居たのか?何でこんな全身包帯ぐるぐる巻き状態になっちゃったのか?僕は女性を殺した犯人なんですか?僕は殺人犯なんですか?」
「うん、じゃあ、ここで一回、うん、話を整理してみようか。」
「はい。」
「裏路地で女性の変死体が発見された。あれだ。もう、刃物で滅多刺しの鈍器のようなモノで滅多打ちの変死体だ。んで、その数メートル先の別の裏路地で全身骨折で倒れてるキミが発見された。当初は、恋愛のもつれによる殺人からの自殺と考えて捜査は進められた。だが、キミがミイラ男状態で、しかも所持品に身元を確認出来るモノを所持していなかった事で、早々に捜査は行き詰まった訳だ。」
「刑事さんは、僕が殺したと思ってるんですか?」
「さあな?さっぱり分からないよ。キミが誰で、一体何者なのかが分かって初めてスタートラインだからな。キミは殺人犯かもしれないし、全く無関係かもしれない。」
「そうですか。」
「ただ、俺が思うに、キミは無関係だ。」
「えっ!?そうなんですか!?それは何でですか!?」
「こう言う場合、ドラマや小説だとな?犯人かな?犯人かな?と思わせぶりな奴が犯人じゃないパターンが多いんだよ。」
「はい?」
「あれだろ?キミは、事件の真相を撹乱する為に、あそこで全身骨折で倒れてたんだろ?」
「どんな奴なんですか!僕は!」

「おまけに記憶喪失と来たらもう、決まりだよ。」
「何が決まりなんですか?何も決まってないですよ?」
「話が後半になってクライマックス間近でキミの正体が分かった時、この事件とは無関係だってオチが俺には見える!」
「刑事さん!ちょっと刑事さんこれは!これは現実の話ですよ?ドラマや小説や映画とは違うんですよ!」
「そんなのは分かってるよ!俺が今、ここでウンコしたら、ウンコした事になるからな!」
「斬新な確認方法ですね!」
「だから俺は、さっさと事件の真相に辿り着きたいんだよ。こんなどうせ無関係の男の事情聴取とかしたくないんだよ。」
「無関係かどうかは分からないじゃないですか!それに、仮に無関係だったとしても!僕は僕で何か別の事件に巻き込まれてるかもしれないじゃないですか!」
「そうかもしれないな。」
「そうですよ!」
「だとしてもだ!キミは、この状況では、一番迷惑な存在で、むしろ嫌がらせしてんのか?って、存在なんだよ!」
「いや絶対その態度おかしいでしょ!これは現実の話ですよ!」
「だから!俺がここでウンコしたら、ウンコしたってなるんだから分かってるよ!」
「・・・してないですよね?」
「するかよ!俺は刑事だぞ!」
「どう言う言い分なんですか!何も見えないし何も臭わないから分からないですけど、本当にしてないですよね?」
「あのな?もっと常識的に物事を考えれば分かるだろ!」
「刑事さんに言われたくないでよ!」
「ちょっともうあれだな!埒があかないから、顔の包帯取るぞ?」
「ダメですよ!何言ってるんですか!」
「さあて?キミは一体誰なんだ?」
「誰なんだって、今包帯取ったって分かるわけないじゃないですか!やめて下さい!」
「これで一つ事件の真相に近付くってもんだ。」
「刑事さん!!ダメですって!!やめて下さい!!」
「さあ、キミは、一体誰なん、だ!」
「ちょっと!ちょっと看護師さーん!誰かーっ!」
「えっ!?どう言う事だ!?」
「・・・・・・。」
「俺!?」

第五百七十七話
「という暇潰しの妄想の」

んまあ、俺の想像力なんてのは、こんなもんかな。それにしてもちょっと、何か変な妄想してたら、本当にウンコしたくなって来たぞ?あれ?ボタンがない!?えっ?どこだ?ちょっと?ちょっと誰かーっ!!看護師さーんっ!!ねぇーっ!!」

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2017年6月28日 (水)

「第五百七十六話」

 これで、終わる。なにもかもこれで、これで全て終わる。
「・・・・・・。」

「・・・・・・。」
さようなら、キミ。
「・・・・・・。」
「・・・・・・。」

本当に、さようなら。
「・・・・・・。」
「・・・・・・。」

キミ。
「えっ!?」
「えっ!?」

第五百七十六話
「交差点をバスが通り過ぎなければ僕の殺人計画は完璧なはずだった。

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2017年6月21日 (水)

「第五百七十五話」

「ブロロロロロロロ!!」
「ブロロロロロロロ!!」
俺達は今、美術館から名画を盗み、森の中をバイクで走ってる最中だ。
「どうやら追っ手は来てないみたいだな!」
「この森を抜けた所まで、あと少しだ!」
「そこに乗り物が?もうガソリンがもたない!こんなおんぼろバイクじゃ限界だ!」
「ああ!大丈夫!ちゃんと用意してある!さあ森を抜けるぞ!」
「ブロロロロロロロ!!」
「ブロロロロロロロ!!」
俺達が森を駆け抜け辿り着いたのは、大草原だった。
「大草原!?」
「乗り物は、こっちだ!」
「あ、ああ。」
「さあ!逃げるぞ!」
「え?」
「は?」
「え?」
「は?」
「え?」
「は?」
「乗り物って?え?」
「これだよ。」
「気球?」
「気球。」
「気球?」
「気球。」
「赤い気球?」
「青が良かったか?」
「色の問題点指摘してんじゃなくて!乗り物のチョイス自体を指摘したいんだ!え?ウソ、だよな?」
「ウソ?何が?」
「いやだから、気球で逃走って、ウソだよな?」
「この状況でウソなんかついてどうすんだよ!僕達は、名画を盗んだんだぞ!しかも名画中の名画をだ!だから物凄い数の警察が追って来てんだぞ!」
「いやなんか着々と気球のセッティングしてるけど、ウソなんだろ?」
「セッティングしてるのが分かってるなら少しは手伝えよな!」
「いや、いつの時代背景で逃走用の乗り物チョイスしてんだよ!てっきり小型飛行機とかかと思ったよ!」
「小型飛行機の免許なんか取れる訳がないだろ?」
「じゃあ、お前は一体あの期間、何の講習に出掛けてたんだよ!」
「もちろん気球の講習だよ。」
「いやいやいや、おかしい!おかし過ぎる!」
「大爆笑してないで手伝えよな!」
「大爆笑なんかしてないだろ!」
「おかし過ぎて逆に怒ってんだろ?」
「それを大爆笑って観点で捉えられるお前は凄いよ。ちょっと待てよ!ちょっと冷静になって考えてみろよ!気球だぞ?」
「赤い気球な。」
「色とかどうだっていいんだよ!気球だぞ?気球でどうやって逃げ切るんだよ!」
「上へ上へ逃げれば、有り得ないぐらいの数の警察から逃げ切れるだろ?」
「地上の警察はな!地上の有り得ないぐらいの数の警察からは逃げ切れるよ!」
「じゃあ、万々歳じゃないか。それ取って。」
「何で万々歳なんだよ!」
「有り得ないぐらいの数の警察は、指をくわえて僕達を見てるしかない。大爆笑で見返してやろ!」
「いやだから、お前の頭の中でどんな時代背景になってんだって!地上の有り得ないぐらいの数の警察が指をくわえて俺達を見てたって、有り得ないぐらいの数の上空の警察は、大爆笑で地上を見下ろしてる俺達を見て大爆笑だろ!」
「ヘリコプター的な?」
「ヘリコプター的なだよ!ヘリコプター的な存在分かってんじゃん!分かってて何で気球チョイス?」
「ちょっとそれ取って。」
「おいなあ?マジで気球がウソじゃないんだったら、とりあえずバイクで逃げれるとこまで逃げようぜ!その方がまだマシだ!空の上で逃げ場がない状況で蜂の巣にされるならな!」
「蜂の巣?蜂の巣なんかされないさ。よし!準備出来たぞ!」
「こ、これは!?」
「有り得ないぐらいの数の警察は、名画を傷付ける事は出来ない。だから、盗んだ名画全てを気球に貼り付けたんだ!」
「なるほど、ってなるほどじゃない!一旦、気球で上空に行くって事はだぞ!その後、地上に戻らなきゃなんだから、上空でマークされて地上で逮捕だろうが!」
「誰が地上に戻るって言った?」
「はあ?」
「宇宙に逃げれば無敵だ!そして気球初の宇宙到達で僕達の名前は歴史に刻まれる!」
「主旨がもう、おかし過ぎるだろ!」
「それに、宇宙へ持って行けばもう、僕達の絵は盗まれる事はない。」

第五百七十五話
「究極のトランクルーム」

「いや、大気圏でアウトだろ。」
「は?」
「え?」
「は?」
「え?」
「は?」
「え?」
「は?」
「え?」

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2017年6月14日 (水)

「第五百七十四話」

「殺す気でしょ?」
まさか、生きてる間にこんな言葉を口にするとは、思ってもみなかった。しかも、親友に対して・・・。そう、今日は朝から曇天で、時間の流れなんか分かったもんじゃない中、俺は新作のデザインを暗中模索してた。数年前、親友と立ち上げたデザイン事務所だったが、学生のノリと言うか飲みの席でもノリと言うか、んまあ現実なんてもんは酷いもんで、でもそんな袋小路の現実社会でも何とか自分達の道を切り開いて行こうと俺達は必死だった。今日だってそうだ。気付けば夜中になってるぐらい俺は、デザインを書いては捨て書いては捨て書いては捨て書いては捨てしてたら、背後に頭から爪先まで黒黒黒のファッションで、その親友が立っていた。だから俺は言ったんだ。
「殺す気でしょ?」
と。
「はあ?お前、何言ってんだよ。」
「いや、言うだろ。そんなあからさまな格好で後ろに立ってたら、言うだろ。殺す気でしょ?ってさ。今使わないで一体いつ使えばいい言葉なんだよってくらいにさ。」
「休みの日なのに事務所に明かりが点いてるからもしかしたらと思って来てみたら、お前がいたんだよ。」
「うんじゃあ、そのポケットからはみ出てるロープは?」
「だから、もしかしたらと思ってって言っただろ?」
「いやいやいや、お前のもしかしたらを俺が瞬時に理解出来る訳がないでしょ?人それぞれに人それぞれのもしかしたらがあるんだからさ。」
「もしかしたら、強盗じゃないかと思ったんだよ。」
「・・・いや、待て待て待て!待ってくれ!待ってくれ待ってくれ!」
「待ってるよ。」
「はあ!?」
「はあ!?って何だよ。」
「おかしいだろ!それ絶対おかしいだろ!強盗かと思ってポケットにロープで背後って、無理ない?無理無理無理!それは、無理!」
「何が無理なんだよ。」
「強盗だったら警察呼べばいいだろ?こんな距離まで俺だって分からない訳がないし!」
「デスクの上のライトだけじゃ分からないだろ?ゴソゴソしてたしさ。」
「いや確かにゴソゴソはしてたけど、え?お前何?警察呼ばないで強盗だったら殺してしまおうって考えたの?」
「その方が早いだろ?」
「何が?この場合、何が早いの?何と競争してんの?恐い恐い恐い!俺を殺す気じゃないんだったとしても誰か殺す気だったんじゃん!」
「強盗するような奴だぞ?殺されたって仕方ないし、殺されたって悲しむのは、その家族ぐらいだろ?そんなの世界の人口に比べたらゼロに等しい数だろ?」
「何だよその犯罪イコール死刑な発想は!何だよその不条理なルールブックは!」
「いや別にそうじゃないよ。」
「そうだろ!」
「俺達の事務所に強盗が入ったらの話で、他のとこに入った強盗は殺さないよ。ああ、強盗に入られて可哀想だなって思うぐらいだよ。」
「ああ、強盗に入られて可哀想だなって思うぐらいだよじゃない!そのまず、降りかかる火の粉を殺害で丸く収めようって発想がいかがなもんだろ!どうすんだよ!その死体!」
「その時は、お前に連絡して手伝ってもらおうと思った。」
「思うな!俺に訳の分からない犯罪の片棒を担がせるな!」
「山に埋めるか溶かすかブタの餌にすれば大丈夫だろ。」
「マフィアか!俺達は!」
「でも許せないだろ!強盗だぞ!大事なモンを盗んだんだぞ!俺達の大事なデザインを盗んだんだぞ!」
「ああ、やっぱり殺す気でしょ?お前、俺の事を殺す気でしょ?」
「何で?どうしてパートナーのお前を殺す必要があるんだよ。」
「だって、お前!そもそも咄嗟にそんな格好が出来るか?都合良くロープ用意出来るか?」
「咄嗟にこんな格好が出来る事だって、都合良くロープが用意出来る事だってあるだろ?」
「お前、気付いたんだろ?」
「気付いた?何に?」
「俺と奥さんとの関係についてさ。大事なモンを盗んだ俺に、気付いたんだろ?」
「・・・・・・・・・。」
「ごめん!本当にごめん!もう二度と奥さんとは会わないし連絡も取らない!誓うよ!だから、殺さないでくれ!」
「確かに、俺はお前と妻の関係に気付いた。確かに、俺は大事なモンを盗まれた。」
「頼む!殺さないでくれ!」
「もう遅い。」
「えっ?やめろ!頼む!やめてくれ!」
「だから、妻を殺した。」
「え?」
「俺から大事なモンを盗んだ妻をな。」
「・・・お前。」
それから俺達二人は、朝までデザインを創作し続けた。

第五百七十四話
「私を殺す気でしょ?」

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2017年6月 7日 (水)

「第五百七十三話」

「先輩?」
「任務中の私語は厳禁だ。」
「そんな事は分かってますよ。」
「トイレか?」
「そんなヘマはしませんよ。」
「だったら、任務に集中しろ。」
「先輩?集中しろって言ったって、僕等こうしてドアの前に立ってるだけですよね?何か話でもしてないと暇じゃないですか?」
「ただドアの前に立っている訳じゃない。部屋の中には、大統領が居る。私達の仕事は、大統領を警護する事だ。分かっているなら、私語は慎め。」
「いやいやいや、先輩?僕が言いたいのは、この国でこの仕事って成立するんですか?って言いたいんですよ。そう言う話ですよ。」
「大統領の命を命懸けで護る。それが任務だ。」
「先輩の言ってる事は、この国以外だったら当て嵌まるんですよ。立派な志ですよ。でも、この国で大統領の命を狙う者がいますか?そんな愚か者絶対いませんよ。」
「この世の中に絶対は存在しない。」
「そう言いますけど、よく言いますけど、この国で大統領の命を狙う者がいないのは、絶対です。」
「どうしてそう言い切れる。」
「え?だって、この国のシステムがそうじゃないですか。大統領の命を狙った者は、頭が爆発する。国民全ては生まれた時にそのチップを埋め込まれ、定期的に交換する。他の国から入国して来た者には、その場でチップが埋め込まれ、出国時にチップを抜き取られる。まあ、島国だから成せる業とでも言うんですか?完璧なシステムですよ。」
「そうだな。」
「いや先輩?そうだなじゃなくて、この完璧過ぎるシステムの中、なぜ大統領警護が必要なのか?ですよ。話はそこですよ。」
「このシステムも人間が作り出したモノだ。人間が作り出したモノには、必ず欠点があり弱点がある。」
「いやいやいや、そう言いますけどね。よく言いますけどね。このシステムは難攻不落過ぎるぐらい難攻不落ですよ。」
「なら、こう考えたらどうだ?」
「どう考えるんですか?」
「立ってるだけで、金が貰える。」
「ええーっ!いやまあ、実際そうなんですけど、何か先輩の口から聞きたくなかったなぁ!」
「おい、そろそろ本当に私語を慎め。」
「あそうだ!いい事を思い付きましたよ。」
「この状況で黙る事以外にいい事などないぞ?」
「本当に頭が爆発するか試してみません?」
「何!?」
「先輩は、見た事あります?大統領の命を狙ってる者の頭が爆発した瞬間を。」
「いや、ない。」
「こう、考えた事はありませんか?いや、こう考えたらこの状況の全てに説明が付く。」
「何を考えている?」
「嘘なんですよ。」
「嘘?何が嘘だと言うんだ?」
「この国のこのシステムがですよ。」
「バカな!?そんな飛躍し過ぎた考えがあるか!」
「そこですよ。まさにそこです。全ての人間が、この国のこのシステムを疑わない。でも、実際にはそんなシステムはなく、話だけが一人歩きしてる状況なんですよ。当たり前に塗り固められた嘘を信じてる。だから、警護が必要になる。だって、そんなシステムが存在しないなら万が一の場合は、マジで大統領の命は危険ですからね。」
「私もお前もチップが埋め込まれているだろ。」
「ええ、でも実際に爆発した人間は見た事がない。チップを埋め込むと言う作業をする事で、嘘が飛躍的に真実へと進化する。」
「突拍子しもない想像をするは自由だ。だが、お前が試そうとしている事は、罪だ。」
「ここで大統領の命を狙ったら、本当に僕の頭が爆発するのか?試してみる価値はあると思いませんか?」
「ない!」
「先輩だって、疑問に思ってたはずです。」
「私は疑問になど思った事などない!」
「この大統領警護の仕事をしてて、それは有り得ないですよ。でも、安心して下さい。僕が今からその疑問を解決してみせます。」
「おい!」
「先輩?なぜ銃を?大統領の命を狙ったら、頭が爆発するんですよ?銃なんか向けても意味はないはずです。先輩は、遠くから安全な場所から本当に僕が爆発するかを見届けてくれればいいんです。」
「やめろ。それ以上は、冗談の域を越える。」
「巻き込まれちゃいますよ?」
「やめろ。」
「・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・。」
「・・・・・・冗談ですよ。」
「・・・・・・・・・・。」
「だって、僕が大統領の命を本気で狙ってたら、今頃爆発してるはずじゃないですか。」
「・・・・・私語は慎め。」
「先輩?」
「これ以上は、上に報告するぞ。」
「このシステムって、大統領も例外じゃないですよね。」
「当たり前だ。」
「それって、大統領が自殺しようとしたら、どうなるんですか?やっぱり爆発するんですか?大統領が大統領の命を狙ってる訳だから、システムが起動しますよね?」
「トンチみたいな事を言っていないで任務に集中」
「ボンッ!!」
「先輩!?」
「まさか!?」

第五百七十三話
「それは自殺か暗殺か?」

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